↑このレバーを壊してから、針金で下の窓のレバーを開けて侵入した。
↑今時肉体労働系の泥棒なんて、なかなか根性あるやんけ。
一昨日、我が家に泥棒が入った。
昨夜、出張から戻ったところを保安に呼び止められ、事情を聞かされた。
聞けば、一昨日の夕方5時から8時にかけて、何者かが裏側の排水管をよじ登って
リビングの小窓を壊して侵入し、物を盗んだ後、ベランダから紐を垂らして逃走したという。
1階から12階までの全ての4号室に侵入しており、
たぶん僕の家にも入っているだろうから、至急確認するようにと言われた。
「他のフラットでは何万ドルもする宝石やパソコンを取られて、部屋も荒らされてねえ…。
入り口から入ったんなら我々が監視できるんだけど、森の方からじゃあねえ…。」
と責任回避気味に語る保安員はなんだか楽しそうだ。
もしもこれが自分の家に起こったことだったら、もう大変な形相をしているに違いない。
昨日〝人に起こったことを赦す〟ことを学べたことは本当に幸いだった、と内心思う。
家に帰ると、やはりリビングの小窓のレバーが壊されていた。
先ず上の通気用窓のレバーを壊してから、
何か針金状の物を下の窓のレバーに引っ掛けて窓を開け、そこから侵入したらしい。
見ると、リビングのベランダの窓も開けっぱなしになっていた。
ざっと部屋の中を見たが盗られたものはない。
恐らく、侵入した時に外で物音か何かが聞こえたために、慌てて逃げたのだろう、
と保安員はそう推測した。
保安員が写真を撮って去った後もいろいろ調べてみたが、何かを盗まれた形跡はなかった。
ノートPCも、机の中に置きっぱなしにしていた現金20万円も無事だった。
ここは香港の中でも非常に治安が良い場所だ。
アパートもオートロックで、24時間保安員が監視している。
ただ、裏が森になっているので、夜だと電気の付いていない部屋を狙って、
空き巣に入ろうと思えばできないこともないらしい。
今はケータイやネットを使った詐欺が主流の泥棒業界で、
排水管を十何階までよじ登るなんて、肉体派というか、
なんとも山っ気のある奴らだと思った。
しかし、この報を保安員の人から伝えられたとき、なぜか全く動揺しなかった。
何がなくなっても、まあいいかな、と思っていた。
ていうか、最初から持っているものなんてない、と当たり前に考えていた。
PCがなくなれば、創作原稿のファイルもなくなるので困ると言えば困るが、
そうなればなったで、また書けばいい、くらいの気持ちだった。
2年前のちょうど今頃、アンフィニが崩壊して,
〝これは自分が作ったんだ。チャンスだ。手放そう〟と言い聞かせるようにやっていた。
それが今では、初めから世界はないことが当たり前になっている。
そして、誰も何もしていないことを完全に受け入れはじめている。
↑2年前の今頃はここにいた。この左側のお嬢さんはどなたでしょう?
でも、部屋を荒らされなくてよかったあ。
荒らされてたら片づけが面倒だよ。
ちゃん、ちゃん!