ゴースト新垣氏→佐村河内氏→スタップ小保方さま→笹井教授、と
次々に濃ゆいキャラを輩出し続ける日本のワイドショーであるが、
ここへ来てまた新たな異色キャラが登場した。パソコン遠隔操作の片山被告だ。
記者会見での、あのニヤニヤ笑いを見た瞬間、
日本国中が〝こいつ、怪しいーっ!〟と叫んだはず。
にもかかわらず、菅谷さん事件で冤罪を勝ち取ったほどの敏腕弁護士がころっと騙された
というのだから世の中わからない。
他のワイドショーキャラに勝るとも劣らない彼の最大の武器と言えば、
なんと言ってもあのニヤニヤ笑いと〝罪を全部認めてしまうことで騙し続ける〟特殊キャラだ。
「私は全ての罪を認めます。本当に悪うございました。どんな罰でも受け入れます。
申し訳ありません。」と頭を下げながら、本当は自分が悪いなんてこれっぽっちも思っていない。
逆に「悪いのはみんな私です。」と言うことによって
「はい、これでわたしはもう悪くありません。」と自分や他人を納得させている。
〝罪を全部自白することによって罪悪感から逃れる〟という、なんとも画期的な
〝父からの逃避方法〟を編み出した、ニヤニヤ笑いの片山被告を画面に見ながら、
僕は新たな感慨を覚えた。
それにしても、彼はなんであんな河川敷に、証拠となるケータイを埋めたりしたのだろう。
それも何回も下見に行ったりして…。 そんなのバレるに決まってんじゃん。
もしこれが自分だったら、絶対に燃やすか、チップだけを取り出して粉々に砕くかする。
他人のパソコンを乗っ取ったりするわりには、イマイチ詰めが甘い。
そして、そこら辺が彼の救いであり、兄貴の導きが成せる業でもある。
まあ、神から逃げ切るためには、まだまだ修行が足りない、と言うところか…。
(ていうか、一度も神から離れたことはないので、逃げ切れるわけはないのだが…。)
「罪を認めた後でも、まだそうやって騙し続けるのなら、本当の意味で君はどうしようもない。」
と最後に佐藤弁護士が言った言葉は、絶対に兄貴が言わせた一言だ、と思う。
そして、いつか彼も父のもとへと戻ってゆくのだろう。
逃げの一手の片山被告に対し、思い切り神に近づこうとして一発玉砕してしまったのが、
シャブ&ASKAこと、ASKA被告だろう。
「何度も打つよ。残さず打つよ♫〜♪」と実の息子に替え歌まで歌われてしまったASKA被告。
クスリの力で神と一体になろうとした彼だが、
クスリが切れたときの反動は凄まじいものがあったものと想像する。
奥さん、息子さん、相棒、周囲の人々、それぞれの背後でちゃんと兄貴が導いている。
それも、その人が一番〝効く〟タイミングを見計らって、さっと差し出す。
〝イエーィッ!〟と高島忠夫のように手を叩きたくなるではないか。
僕はワイドショーが大好きだ。
テレビで報道されるような事件の数々は、個人個人に起こったことのように見えても、
本当は日本人の大きな罪悪感や恐怖が浮き彫りになっていることが多い。
なので、自分がそこにチャンネルを合わせたということは、自分の中に在る罪悪感を、
TBSならTBSのチャンネルを通して映像化して見ている、ということになる。
だからテレビは僕にとって、リビングのソファでワインを飲みながら、
楽しく安全に、自分の中にあると思っている罪悪感を赦してゆける、
何とも有難いツールなのだ。
しかし、いくらなんでも片山被告で『天城越え』…なんて、絶対いやだ。