乾物屋さんで金柑の塩漬けが売られていたので、いくつか買って帰った。
普通はスプーンで潰し、スプライトに入れて飲む。
スプライトの甘味と塩漬けにされた金柑の塩気、炭酸の弾ける感じが
舌の上で絶妙に溶け合い、最高にうまい。
だが、家に戻り、スプライトがないことに気づいた時にはあとの祭りだった。
香港へ来られた際はどこかの食堂でお試しあれ!〝咸檸七〟と紙に書いて見せればOK。
今日は夕方5時頃に香港へ戻ってきた。
ひとり、香港の事務所で仕事をしていると、社長室からメールが入った。
見れば、このブログにも何度か登場したことのある、問題の品管部長が、
フィリピンへ異動になるという内容だった。(※5月22日の記事参照)
スキューバダイビングが大好きな彼は、かねてからフィリピン異動を切望していた。
フィリピンに飛ばされたいがために、現地の部下にわざと暴言を吐いたりして、
〝わたしは中国人とはやっていけません〟アピールを繰り返していた。
この報を聞いたとき、まず怒りが込み上げてきた。
中国人の部下たちに辛い思いを強いながら、自分だけウハウハで去ってゆく彼に対して
憤懣やるかたない思いに襲われたのだ。
だがすぐに、彼はかつての自分であり、自分が押し付けた罪悪感を肩代わりしてくれている
存在であることを思い出した。自覚はないが、彼は自分が捨てたもう一人の自分なのだ。
ばっ、と赦す。
赦した瞬間、さっきまでの怒りが〝くるっ〟と愛の方へと反転した。
彼のことがとても愛おしい存在に思えてくる。
続いて、すべては幻想で、世界はないのだということを思い出す。
あとは兄貴に渡して、彼に押し付けていた罪悪感を削除してもらう。
最近、これらのプロセスに要する時間がずっと短縮されてきていて、
上記に書いたような事柄なら、だいたい10秒くらいで完結できるようになった。
赦しと明け渡しがオープンになっていて、赦しっぱなし状態という感じか。
今日、戻りの電車の中で、いつものように植物人間状態の僕に語りかけてくれている
父の声を聞いていると、突然、ある感慨に見舞われた。それは、
〝誰より何より、父ほど自分を愛してくれている存在は絶対にいない〟
という100%の確信だった。
今までの人生で、誰かを真に愛した時の絶頂的感覚。
その感じは、父が自分に向けてくれている愛と同じものだった。
好きな人から、無条件に愛されたときの、あの天にも昇るような境地。
それは父が自分に対して感じている愛と全く同じものだった。
電車に揺られている最中の出来事で、直撃された感じだった。
こういうことは、ハレ師匠や乙女ののりちゃんが常々ブログなどで書いているので、
読んでもいるし、知ってもいるのだが、今日は〝ストンッ〟と強烈な納得感を伴って落ちた。
この世の、愛と、優しさと、エクスタシーを全部集結させたような存在から、
永遠に愛され続けているという感覚。失うこともなければ、欠けることもない。
うまく言えない。言語で表現するのはここが限界だろう。
明日は日本。夜は兄弟てっちゃんと飲むのだ。雹(ひょう)降らないかな?