↑世界のテレビが紹介するほどの人気ぶり。忌廉哥(クリーム兄貴)
福岡のなおみちゃんに教えてもらって初めて知った〝クリームあにき〟の存在。
調べてみると、めっちゃかわいい。
すぐにでもチムサーチュイの雑誌スタンドまで駆けていきたいくらいだ。
ネーミングもいいし、あのビローンと雑誌の上に横たわっている様もかわいすぎる。
僕にもまだ動物を見てかわいいと思う気持ちがあったなんて…。うるうる…。
と言うわけで、今日は一日深圳の工場で仕事。
久々に一日オフィスに座って仕事をしている。
ふぁちゃんは、ここぞとばかりに、溜まっていた書類をガンガンとトレイへ入れてゆく。
こっちもガンガンサインして返す。
その一方で、設備移管の部長と膝突き合わせての打合せをする。
会議室には盗聴器がつけられているともっぱらの噂なので、小声でひそひそと話す。
広い会議室の隅っこで男2人、顔を突き合わせて話している姿は、もう見るからに怪しい。
でも、仕方がない。任務最優先なのだ。
その後、東京へ一緒に出張した台湾人の女性管理部長に呼ばれ、
『○○有限公司従業員大会』と大書された真っ赤な横断幕を見せられた。
当日は僕とその女性管理部長でこの横断幕を食堂に掲げるのだという。とほほ…。
それから、当日弁護士が説明の時に使うスピーカー付きマイクロフォンも試した。
また彼女は、当日、万が一暴動になった時のために保安員の増員が必要だと、
候補者もピックアップしていた。見れば、皆、人民解放軍上がりの退役軍人で、
プロフィールにはテコンドーや射撃の名手と書かれてある。
中には喉で箸を折れるという特技を持った人もいて、なかなかの強者ぞろいだ。
まあ、それが警護とどんな関係があるのか、と問われればそれまでだが、
写真を見れば、みんな何気にイケメン、なのだ。
これ、絶対に彼女の趣味で選んでるだろう、と管理部長を横目でにらむ。
それでも 「これで警護は安心ね!」と管理部長の彼女は乗り気だ。
そんな準備万端な彼女とは裏腹に、僕はと言えば、すっかり兄貴自動操縦モードに
入ってしまっている。と言うのも、3日ほど前、閉店間際の香港APITAで、
半額になった寿司パックをゲットしようと、おばちゃんたちと熱い火花を散らしていた時、
〝この人たち全部設定なんだ〟と思った瞬間、
〝この人たち全部設定なんだと思っている自分もただの設定なんだあ〟
というロジックがびびび、と頭の後ろから入ってきた。
他者が全て0と1でプログラミングされた設定どおりに反応して動いているのであれば、
半額の寿司を取り合っている自分もまた、プログラミングされた設定で動いているだけの
自動反応機械にすぎない、と気づいたのだ。
寿司を取り合っている自分は自分ではない→ 毎日仕事をしている自分も自分ではない→
ぐるぐる何かを想い続けている自分もただの設定で自分ではない→ 勝手に自分だと思って
いる自分が罪悪感を持ったとしても、それは自分のものではない→ 肉体も自分ではない
じゃあ、本当の自分とはなんなのだろう、そう考えたとき、兄貴がそっと入ってきた。
自分はハートの光そのものだ。
がんっ、と入った瞬間、何かに取って代わられた。
歩いていても、仕事していても、なんだか別の何かと共にいる感じ。
これをした方がいい、こっちへ歩いたほうがいい、この人を選んだ方がいい、
あれがなぜか気になる、あそこへちょっと行ってみよう…。
ピユン、ピユン、と直感が入ってくる。
それでも、普通はこんなことはしないし…。それにこっちの方がどう見ても得だし…。
と、設定の自分が意見を言う。しかし、一切採用せずに直感通りに行動する。
数日ごとに何かが変わってゆくのが、不思議で、面白い。