今日は一日香港のオフィスで仕事だった。
昼休みには近くのジムへ行き、久々に筋トレをした。
もう2週間近くトレーニングをしていなかったので、ほんの少しの時間だったが、
筋肉を動かせて気持ちよかった。
午前中はずっと本社とスカイプ会議だった。
上海の会社も、仏山の会社も、まだ設立が終わっておらず、深圳の工場も清算中だ。
ということは、いま、商品を生産したり、部材を発注する会社が中国にはないということだ。
しかし、得意先からの注文に対応するため、部材を発注し、設備を輸入せねばならない。
そのため、会議ではああしたらどうか、こうしたらどうか、と議論が飛び交う。
誰かが意見を言うと、別の誰かが「じゃあ、こういう問題がある時はどうするんだ。」
という打ち消しが入り、なかなか収拾がつかない。
そうこうしているうちに、別の輸入代行専門の貿易会社を使う案が出され、
じゃあ、それで行こうということになった。
だが、次にその業務を誰がやるかでまた揉めはじめた。
途中から僕は、人ってこんなにゲームにのめりこめるのか、と感心しはじめていた。
わざと問題を作っておいて、その問題を解決しようと格闘する。
そして、解決したらまた新たな、ちょっと頑張ればできそうな次の難問を作り出しては、
時に大声を出し、自己を誇示しながら、すったもんだやりはじめる。
あほらし。
僕はと言えば、何も言わないわけにはいかないので、ずっと兄貴にお任せしながら、
その時々で思いついた受け応えをする。
それでも、途中、ちょこちょことみんなのゲームに飲み込まれそうになり、
実際飲み込まれてしまったりして、相手に対し、語気の荒い言い方をしたりした。
その瞬間、居眠りからはっと我に返る要領で、兄貴を取り戻す。
「語学堪能な君が、どこかよい輸入代行業者を探してくれないか。」と言われた時には
「僕はやりません。無理です。」ときっぱり断った。
自分でも不思議なのだが、自分に責任を押し付けられた怒りや、
みんなからどう思われるか、という恐怖はなかった。
この〝『半沢直樹』安全ソフトバージョン〟の設定ゲームに参加拒否を宣言する。
はっきり〝ノー!〟と言うのも、幻想を赦し、終わらせることになるのだと
このとき、気づいた。