今朝、家から直行でチムサーチュイのペニンシュラホテル内にある
東京三菱UFJ銀行を訪問した。
応接室へ通され、早速ひとり写真撮影会を開催する。
素晴らしい香港島の景色をバックに、いろんな表情で自撮りをしていると、
隣に担当者の人が立っていてギョッとなった。
「お撮りしましょうか」と言われたが、いえいえと丁重にお断りしてソファに腰掛けた。
そして、しばらく担当者と融資の話をした後、香港事務所へ帰ってきた。
本当はバスが一番便利なのだが、道が封鎖されているので、地下鉄を使った。
しばらくオフィスでSKYPE会議をしたり、外債口座開設のための書類作成をしたりしながら
デスクワークに専念する。
お昼になった。いつもならヨガをしに、近くのフィットネスクラブに行くのだが、
日本帰国中に会員権が切れてしまい、そのままになっている。
そういえばもう1カ月近くジムに行ってない。
最近は朝ごはんも、お昼ごはんも食べないので、結局手持無沙汰でそのまま仕事を続けた。
と、郵便局から戻ってきたケリーが、いま、ネイザンロードがどえらいことになっている、
と教えてくれた。
窓から覗いてみると、うわっ、クレーンでバリケードを撤去しているではないか。
香港中心部の道路がすべてデモ隊に占拠され、
商売あがったりとなったタクシー運転手たちが、自らクレーン車を呼び、
バリケードを撤去しにかかっているのだ。
見れば、隙あらば突進してやろうと、幾台ものタクシーが後方で待ち構えている。
やがて、デモ隊と運転手たちの間で小競り合いが始まった。
怒号が13階のオフィスまで聞こえてくる。
わずかな警官隊はただ突っ立ているだけで、介入する様子はない。
こんなおもしろいパフォーマンスを、間近で見ないでどうするんだと、
大阪のおばちゃん根性で階下へ降りてゆこうとするのを、
〝危ないから行っちゃだめ!〟と秘書のケリーに止められた。
「ええーっ!なんでー?そういうデインジャラスなところが刺激的でいいんじゃん!」と僕。
「警官たちはトウガラシ催涙弾を持っているのよ。あれにやられたら、
当分目が開かなくなるんだから。」と注意され、しぶしぶ自分のオフィスに戻った。
明け渡したら放っておく。いちいち意味を与えて、最適化された量子の道筋を歪めない。
何かを見たり聞いたりした途端、まるでパブロフの犬のように、
自動反射的に反応し、勝手な物語を作ってしまう自分がいる。
そんな自分も含めて「これは自分ではない!」と兄貴に渡す。
そのあとは再び同じような自動反射が起きても、そんな自分も含めて関わらない。
そんなことを考えながら兄貴に渡していると、粒子のもやのようなものが空間に立ち込め、
ザザザザーッ、と流動している様子が見え始めた。
この湧き上がる湯気のような粒子の流動の中に、時折光が飛ぶ。
ハレ師匠が言っていた〝薄皮一枚のスクリーン〟がほころび、
その奥にある実相の光が透けて見えているのだな、と思う。
ふと、階下のデモ隊の様子が、崩壊を始めた自分の内面のように見えた。
彼らはきっと、崩壊すべき自己の分離の象徴なのだ。