ほとんど、トイレへ行く間もなく、
銀行へ提出する資料作りに専念した。
明日の朝に日本本社の管理部長が、
この資料を持って銀行へ行くので、
何をつっこまれても大丈夫なように、
完璧な資料を作るのだ。
資料作りには、ケリーやふぁちゃん、
フィリピンのダンが頑張ってくれた。
でも、性質も規模も違う拠点のキャッシュフローを
ひとつにまとめるのはすっごく大変だった。
管理部長は今夜徹夜だという。
しかし、このように仕事が煮詰まっているときでも、
どこか、俯瞰して観ていられるようになった。
イライラした管理部長が何を言ってきても、
顕れては消えてゆく、ただの映像として流してゆく。
この年齢になると、だんだん分かってくるのだ。
どんなに楽しいことがあっても、
どんなに苦しいことがあっても、
もう天にも昇るような幸せな思いをしていても、
人から攻撃されていても、
やって来たそれらは、かならず過ぎて行く。
自分ではどうすることもできない。
むしろ、何もせずに、じっとしてたほうが、
いい感じに収まってくれる。
そう、日曜日はやがて月曜日になり、
また週末がやってくるのだ。
最近、人の世間話や愚痴を、
ちゃんと聞くようにしている。
悩みごとも聞くし、自分も喋ったりする。
世間話や悩み事って、
下世話なことでもなければ、避けることでもない。
ただただ、明け渡すために出てきてくれている。
誰々さんさあ…、というような噂話、
子育ての悩み、パートナーに対する愚痴、
お金の話や仕事のことなど…。
いまの自分はその境遇にいなくても、
何万回もの過去世や未来世では、
必ず〝この人〟をやっていたはず。
だから、人のことを聞きながら、
それを自分のこととして赦すことで、
その何万回分もの設定を削除することができる。
そして、気づいたのだが、
自分もちゃんと相手に話すことで、
それを明け渡しやすくなる。
むしろ、話しながらのほうが放出できたりする。
朝からコーヒーしか飲んでいないことにさっき気づいた。
お腹、全然減ってない。
そう言えば、ワインも長いこと飲んでないなあ。
ちょっとヤバいと思って、
さっき、サーモンの刺身と飲むヨーグルトを食べた。
それだけでもう腹満杯!
不食、試してみようかな…。