宇宙人総経理も有給休暇を取ってお休みなので、
ケリーと2人、静かに仕事をした。
電話もかかってこなければ、SKYPEもない。
会社の人たち、突然どっかに消えちゃったみたい。
えっ、ほんとうに消えた? それとも自分が、
ヘンな次元にでも迷い込んだのだろうか?
まあ、世界はないので元々消えちゃってるのだが…。
自分の耳鳴りさえ聞こえてきそうな静寂の中、
浮き上がってきた感情を決断の主体がある場所へ戻し、
兄貴に大放出しながら契約書や小切手にサインをする。
強化ガラス越しに世界を見ているような感覚。
あんまり静寂なので、いくらなんでもこれはおかしい、
と思い始め、試しに、KKBにSKYPEしてみた。
KKB、東京の本社で弁当食ってた。
「どうしたんですか。」とKKB。
「いえ。別に。元気かな、と思って。」と僕。
「ええ、まあ、元気ですけど…。」とKKB。
「ああ、よかった。ではまた。」と言って切った。
切った後、僕になんかあるんですか、と、
KKBからメッセージが入った。
日頃から不思議発言を連発している僕から、
突然、変な電話が来たので、てっきり、
僕が彼に対して、何か不吉なものでも感じて
連絡してきた、と思ったようだった。
KKBはいつも、ちっちゃいことで落ち込む。
この前もSUICAを失くし、3日ほど落ち込んでた。
おおっ、この人、いない。本物じゃない。
なんか、周囲にいる人に主体を感じられない。
設定どおりに動いているバーチャルキャラ集団のよう。
あっ、そう感じている自分もバーチャルキャラだった。
もう全部、決断の主体の場所から、捨てる。
ずっと、ここでゲームしててもしょうがない。
こんな感じで、一者の意識が操作している場所で
放出しながら静かに過ごしていると、
やっぱり、決断の主体は背後にいる、と確信する。
僕たちは決して背後を見ることはできない。
鏡に映してもそれは前にある鏡に映る自分の背後だ。
ビデオで撮っても、やっぱり前方の画面に映る背後。
向かい合う他者が見る自分の背後も、結局は、
他者にとっては前側を見ている。
絶対に見えない自分の背後なのに、前方の景色と同様、
僕たちは背後にも空間が広がっていると信じている。
ノー。そこに3次元空間はない。
だって、だれも見た人はいないじゃないか。
背後には虚の空間が広がっている.
それは神がいる方向であり、量子の空間だ。
あらゆる設定を背後へ戻し、聖霊兄貴へ返すと、
ずっと前を見続けていた決断の主体が、
くるりと反転を起こして振り向いた瞬間、
神が両手を広げて待っているのだ。