今週から『モーガンフリーマンが語る宇宙』の
新シリーズが始まった。第一回目は時間についてだ。
番組は終始〝時間はない〟という趣旨のもとに
貫かれている。(ような気がする…。)
時間は熱によって発生する。
観測者なしに時間は存在しない。
いや。この瞬間にも無限の時間が生み出されている。
空間と同じく、時間にも揺らぎがあり、
一秒が、みな同じ一秒とは限らない。
いつものように、様々な物理学者が出てきて、
持論を展開するのだが、この番組の面白いところは、
再現イメージの映像に俳優や声優を一切使わず、
全てその学者本人が語り、身体を張って実証する。
半分に切ったピンポン玉を目の上に載せられて
監獄のベッドの上へ仰向けに寝かされたり、
光子の動きを再現するために、ユニフォームを着て、
川の上でアイスホッケーをさせられたり、
時間の削除を説明するのに短パンでテニスをしたり、
それぞれの学者さんが皆、ユニークで魅力的なのだ。
この中で、僕の気を引いたのが、
コーネル大学の物理学者、アレックス教授が開発した
時間レンズという、光に時間的な作用を与える装置だ。
レーザー光線に別の光線を照射し、速度を落とす。
速度の落ちた光線をグラスファイバーに通し、
二本に切断する。すると、切断された光の間に、
光の隙間(時間の穴)ができる。
その隙間に光は無く、時間も止まっている。
そこへ、別の情報を追加し、のちに抜きだす。
そして、再度、切断された光を繋げ直せば、
元々プログラムされていた情報は削除されており、
存在しなかった事になるのだ。
なぜ、僕がこの情報に惹かれたかと言うと、
きっと兄貴も、こんな風に僕の幻想を削除
しているのかな、と想像したからである。
なんかもう、ここまで来ると、
この番組のディレクターって、奇蹟講座の学習者
なのではないか、と思ったりする。
でも、時間て不思議だ。
なぜなら、時間は僕たちの記憶の中にしかないからだ。
僕たちは1年前のこの時間に何をしていたのか、
詳細に思い出すことができない。
思い出せないだけで、脳には刻まれている、とか、
日記をつけていたり、映像に残してある、とか、
様々な方法で起こったことを検証するのは可能だが、
本当に起こった事を検証する手立てにはならない。
みな、過去に書いた日記や、過去に撮った映像や、
過去に経験した記憶を、いま、現在、
見たり、思い出したりしているに過ぎない。
今日やった仕事も、数年後には無かったことになるし
どんなに有名な人も、最後はただの記憶になる。
その記憶も、隠蔽されたり、歪められたりして、
決して真実ではない。
と言うことは、結局、普遍的な時間や世界なんて
存在していない、無だ、ということになる。
幻想を幻想だと認識したとき、幻想は消える、
とエックハルト・トールは言っているが、
明け渡しを実践して兄貴に削除依頼をする以外に、
こうやって、科学的に時間の謎を解明することで、
僕たちの幻想が消滅していくのだな、と感じた。