香港さんといっしょ!ー純粋非二元で目醒めを生きるー

欲望都市香港で覚醒した意識で生きることを実践中。今回を最後の生にするための日常を綴っています。

ヴィパッサナ―瞑想(1日目 - 3日目)



1日目から3日目までは、呼吸を使った瞑想だけを、

朝4時半から夜9時まで、徹底的にやりまくった。


熱で寝込んでいたベッカムが元気になっていた。

短パンにアロハシャツ姿で張り切っている。

それから、聖なる沈黙の遵守があるにもかかわらず、

なぜかバングラおじさんが、普通に話しかけてくる。

僕がくしゃみをすると「風邪薬あげようか」とか、

「どこで洗濯するの?」とガン見しながら言って来る。

仕方なく、統括マネージャーを通して伝えてもらった。

聖なる沈黙が解かれた後に訊いてみると、

どうやら本人は戒律を理解しておらず、

ワイワイ楽しく過ごせると思っていたらしい。


それから、今回生れて初めて遭遇した

〝インド大好きさすらい系男子〟の面々も、

僕の興味をそそった。

まず、彼らのロン毛は必ずボサボサでなければならず、

がりがりに痩せ、そして何より、

どんなときも常に裸足でいなければならない。

神使者のゲイリーのようなおデブインドさすらい系は

絶対に許されないのだ。

歩き方は、大地を踏みしめるようにゆっくりと歩き、

インドの聖者が纏うようなストールの間から

手を伸ばして床の上の毛布を取りあげる際には、

必ず手首をぐるりと半回転させてから拾い上げる。

そのくせ、長時間の瞑想では居眠りをしてたりする。

普段は絶対にお目にかかれない人たちを目の当たりにし、

感慨を新たにした僕なのであった。

3日間、ただただ自分の呼吸だけを観察して過ごす。

呼吸を感じるだけなのに、これが全くできない。

1分も経たないうちに、意味のない思考や映像が

わわわわと立ち上がり、すぐにその波に飲み込まれ、

無意識に流されていってしまう。

その思考というのが、へんてこりんなものばかりで、

喫茶店にいるとマリリンモンローのウェイトレスが

注文を取りに来たり、お皿を油で揚げていたり、

かと思えば、何の興味もない昔の歌がずっと

リピートリピートで流れていたりと、

情けなくなるくらい、意識的でいることができない。

どんなに頑張ってもダメ。

意識的に呼吸の方に留まろうとしても、

自動的に無意識(エゴ)に持っていかれてしまう。

自分の意識なのに完全コントロール不能である。

そうして、架空の物語の中に入りこんでは、

はっとなって我に返り、呼吸に集中したかと思えば、

思考の渦に呑まれ、を延々繰り返した。

やがて、

これは意識が、エゴから聖霊を選びなおすための

意志を強化するために行なっている訓練なのだ、

ということに気がついた。


自分を内観する、なんてそんな悠長なものではない。

瞑想中は身体を動かすことも禁じられ、

休憩時間も、他者との交流を一切断たれるため、

心身ともに苦しい。


それでも、これだけを毎日12時間もやっていると、

次第にエゴの呟きを制御でき得るようになって

くるから不思議だ。

エゴの呟きが始まり、さっと持っていかれそうになる

その瞬間を捉えることが可能になり、

3日目には1時間まるまるエゴの呟きを消し去り、

呼吸に集中できるようになった。


こんな修行のなか、唯一の楽しみは食事である。

食事は玄米菜食の料理が朝と昼に出される。

玄米パンやおでん、スパゲッティが出ることもあった。

夕食はない。僕はもともと一日一食なので、

そんなに苦にはならなかったのだが、

若い子らにはきつかったようだ。かといって、

お昼に夜の分も食い貯めてしてしまうと、

昼からの瞑想が辛くてできなくなる。

それでも瞑想が進むにつれ、

みんな少食でも十分耐えられるようになっていった。

このゆとり世代の若い子らの行動も面白かった。

もう、何から何まで〝ごゆっくり〟なのだ。

ただパンにバターを塗るだけなのに、

3分くらいかけてちまちまちまちまやってるし、

食器を洗うのも、おかずを盛るのも、

もたもたもたもたしていて、バブル世代の僕から見ると、

ひぃーーーっと、虫が湧きそうになってくる。


それでも、若い子らはしっかりしていて、

生まれてこの方皿洗いなんてしたことのない僕は、

最初、水道の水で皿をしゃーとやってから、

ぴっぴ、と水を切って食器かごに入れようとしたら、

若い子にすごい形相で睨まれた。

また、手洗いの洗濯なんかしたことのない僕が、

バケツで何度すすいでも洗剤がなくならない

と焦りながら下着を洗っていると、

隣の若い子が、2,3度すすいだ後に脱水機にかけ、

それから再度すすぐときれいに洗剤が落ちるのを見て、

ほとほと感心してしまった。


夜、仲間由起恵が突然ベッドから飛び起き、

ワーワー叫びながら布団をひっくり返すと、

着ていた服を脱いでぱたぱたしだした。

目を合してはいけないので見て見ぬふりをしていたが、

沈黙が解かれた後に本人に訊けば、

カメムシが布団の中に飛び込んできて、

身体のあちこちを刺されたのだという。

そう言えば、カメムシが大量発生していて、

瞑想ホールをぶんぶん飛び回っていたっけ。


こうして、3日間かけてエゴの騒音を制御し、

遮断する訓練をした。

また、あとから分かった事なのだが、この瞑想は、

エゴのつぶやきを意識の表面に浮き上がらせ、

放出させる機能もあるようだった。

なので、ある意味、思考の嵐が湧きだすのは、

よい事だったのだ。

最後の方は、制御しようとせず、

放出さながら、意識を呼吸に集中させるようにした。


こうして、

いよいよ次の日からヴィパッサナーを学ぶこととなり、

そこから、神の子を赦し、聖霊の声を聞くという、

7日目−8日目に起こった奇蹟の体験へと

深く深く繋がってゆくことになる。