今日は、仕入れ業者を集めての説明会の日だった。
佛山で一番高級なスイスホテルの会議室を借りた。
閉鎖の2か月前から部材を買い控えていたためか、
出席者はそう多くはない。全部で20人くらいか。
3年前の深圳工場閉鎖の際も説明会を開いたが、
この時は100人以上集まった。
海坊主総経理がお詫びと挨拶をし、
続いて香港の総経理が、今後は香港を経由して
部材を調達し、フィリピンへ輸出する趣旨を伝えた。
そして、最後に僕が、払い残った買掛金の支払いを、
どうやって実行するかという手順を説明した。
ここでも、業者さんたちの大きな動揺もなく、
説明会は滞りなく終了した。
その後、僕だけ他のラウンジへ移動し、
会計士さんと打ち合わせをした。
今回、会社を完全に閉鎖するにあたって、
信用できる会計士さんは必要不可欠だ。
そこで、今うちの会計を担当してくれていて、
出産を機に退職した会計士さんに、
今後の清算処理業務をお願いしようと思ったのだ。
だが、彼女は、以前起きた、
税金還付チョンボ事件のことを気にしていた。
これは彼女の責任ではなく、元上司(女性/40代)に
問題があったのだが、うちの仕事を引き受ければ、
その元上司から何か嫌がらせをされるのでは、と、
気に病んでいた。地方の会計事務所のため、
親戚縁者が、役所や税務署にどれだけいるかで、
力関係が微妙に違ってくる。
↓会計士税務申告チョンボ事件の記事はこちら↓ひとつの意味 - 香港さんといっしょ!ー純粋非二元で目醒めを生きるー
大丈夫。
これ、全部俺が見てる夢で、消えてゆくだけだから。
それに、何が出てきても幻想を父に返すだけだし…。
僕は、
「兄貴、どうすればいいか教えて下さい。」
と、大きく深呼吸して委ねたあと、
「やはり、あなたがいいです。あなたで行きましょう。
何も怖がることはないです。僕がフォローします。」
と、〝ふっ〟と選択した想いを彼女に告げた。
彼女は、お地蔵様のように善良な表情をして、
分かりました、と答えてくれた。
こうして夕方6時の船に乗り、佛山を後にした。
深圳工場、売却されたフィリピン工場、上海事務所、
佛山工場…、それから、僕の赦しの対象となり、
今はもういなくなってしまった、多くの同僚たち…。
僕の人生から、
中国が消える、会社が消える、人が消える…。
なんか、赦せば赦すほど世界が消えてゆく、
というのが僕のいまの状況である。
そして、消えて行った全ては、僕の中で統合され、
みんなで最後の一歩を待っている。