今日は、正午から一時間、セントラルのジムで、
トレーナーの指導で筋トレをした後、
せっかくセントラルまで出てきたのだからと、
ミッドレベルのソーホー地区をぶらぶらすることにした。
長いセントラルエスカレーターをプリンステラスまで上る。
以前も書いたかもしれないが、この地区は、
香港の医者や弁護士、外資系の偉いさん、香港スター、
などが住むセレブな地区で、高級なカフェやバーも多い。
そう言えば、サーズの大流行で家賃が急落していた
わずかな間だけ、僕もこの地区に住んでいた。
だがそれも今は昔、もう二度と住めないだろう。
い、いんやっ!
引き寄せの法則で何とかなるはず。
この無力感を聖霊兄貴に明け渡しさえすれば、きっと…。
(↑ おい、血迷ったかっ!)
というわけで、
いま、シェリー街のオープンカフェでこれを書いている。
休日ということもあり、通りはすごい人出だ。
バーで独りビールを飲んでいる西洋人を観察していると、
彼らはスマホを一切見ていないことに気づいた。
別段何をするでもなく、ゆったりビールを飲みながら、
通りを行きかう人々の様子をただ眺めている。
一方、アジアの人達は、席に着くなりスマホを取り出す。
そんなことを考えているうち、ひょっとして、
僕たちは今、スマホの中にいるのではないか、と思った。
夢の中に生きている自分と、決断の主体である自分を、
もっと世俗的な例に当てはめるなら、
スマホを見ている自分と、スマホの中の自分、に、
置き換えて説明することができるかもしれない。
最初、良い子の僕らは、SNSでのやり取りや、
様々な動画サイト、刺激的なオンラインゲームの数々に、
ワクワクしながら没頭していた。
しかし、寝食も忘れ、スマホの画面を覗き込んでいるうち
現実よりも、スマホの中の世界の方をリアルに感じ始め、
やがて、スマホの中の主人公が自分だと思い始める。
そうこうするうち、スマホを操作している自分と、
スマホの中の自分がどんどん解離してゆき、
それがある臨界点に達した時、すとん、と、
完全にスマホの世界に意識が落ち込んでしまう。
そうやって、
スマホを操作している側の自分をすっかり忘れ、
分離したスマホの中の自分だけが独り歩きを始める。
もちろん、スマホの中の登場人物である自分は、
0と1のプログラムに過ぎないので、実在ではない。
故に自分がどこから来て、どこへ行くのかもわからないし
そんなことなど考えないよう、事前に設定されている。
一方、スマホを見ている方の自分は、
解離させた意識をスマホの世界に完全没入させたまま、
半眠状態でまどろんでいる。
ご飯の時間よ、という母親の声も聞こえないし、
いい加減スマホをやめろ、という父親の呼びかけも、
眠りを邪魔するうるさい雑音にしか聞こえない。
やがて、どんな呼びかけにも反応しない息子に、
業を煮やした父親は、別のアプローチを取ることにした。
スマホの画面に、天国帰還アプリを登場させたのだ。
そして、このアプリに飛びついた一握りの兄弟たちには、
スマホからの脱出ゲームが起動し出した。
そこでは、Jの姿を借りた聖霊が、ここは実在ではなく、
ただ間違ってスマホに没入してしまっただけだと告げる。
僕達は、兄弟同士であーでもない、こーでもない、と、
いろいろやりながら、設定を手放す訓練を重ねてゆく。
とまあ、
こんな感じのファンタジーを、ミッドレベルのカフェで、
ワインを飲みつつ書いていると、ある直感が舞い降りた。
僕たちは、奇跡講座を学び、赦しの実践をすることで、
父が待つ故郷へ永遠に帰還すると思っているが、実は、
決断の主体(個のレベルでは決断の主体の断片)が、
スマホの画面に現れた、天国帰還アプリを押したから、
スマホの中の僕達が赦しを始めることになったのだと…。
要するに、
先に決めたのは決断の主体(の断片)のほうなのだ。
そうやって〝砕けた一なる子の断片〟の意思によって、
肉体である幻想の僕たちは赦しを行なうこととなった。
そういうわけで、不覚にも、決断の主体の断片に、
禁断の幻想脱出アプリを押されてしまったそこのあなた、
諦めなさい。
じたばたするのを止め、潔く腹をくくるのだ!