昨夜、
外国でパスポートを失くし、焦りまくる夢を見た。
ホテルを出て空港へ向かっている最中、
パスポートと財布がない事に気づいた僕は、
乗っていた車から飛び降り、なぜか徒歩で、
来た道をホテルまで引き返した。
歩いている間も、なぜか必死のパッチで、
失くしたパスポートと財布を探し続けている。
ホテルに着き、スタッフに部屋を確認してもらうが
どこにもそんなものはないという。
夢の中の設定では、明日から春節が始まるので
領事館も銀行も閉まっていることになっている。
パスポートもお金もなく、ホテルにも泊まれない。
それに、ここがどこかも分からない。(多分中国)
この時、夢の中の僕は完全に思考停止状態で、
焦燥感と絶望だけに凌駕されていた。
と、その時、はっ、と夢から目覚めた。
いつものベッドの上、いつもの部屋、
パスポートも、財布も、無くなってはいなかった。
夢だったことに気づき、僕は心から安堵した。
それにしてもリアルな夢だった。
ホテルの人の顔や緑の制服の柄も覚えている。
きっと、僕たちが今見ているこの現実も、
身体を脱いでみれば、こんな感じなのだろう。
ああ、本当は何も起きていなかったんだあー、
という安堵感と共に目覚めるのだ。
そこで、ある考えが閃いた。
今自分が夢を見ている事に気づく方法があれば
これと同じ方法で、今僕たちが現実と呼んでいる
〝夢〟からも目醒めることができるのではないか
と思ったのだ。
そこで〝明晰夢、夢の中で夢に気づく、方法〟
といったキーワードで検索してみた。
たくさん出てきた記事の中で、
ある心理学者の文章が僕の興味を引いた。
その心理学者は、
夢の中で夢だと気づけるようになるために、
我々が昼間目覚めている間に行なう訓練として、
自分の手のひらを見たり、周囲の物を観察して
今、ここに現れているものに気づくようにする、
という訓練を行った結果、49%の人が、
夢の中で夢を見ていると気づけるようになった、
と述べていた。
例えば、
ビル、空、雲、人、の存在に気づいている、
嬉しい、楽しい、怒りという感情に気づいている。
また、硬い、やわらかい、暑い、痒い、といった
触覚に気づいている訓練を重ねることで、
ここが夢だと気づけるようになるのだという。
パスポートを失くして焦っているのであれば、
その時の自分の感情、体感、思考の動きに
〝気づいている〟ことこそが、
夢から脱出するための第一歩だというのだ。
なるほど、夢の中でパスポートや財布を失くし、
ちょちょ舞っていた時の自分は、
ただ無意識に焦っているだけで、
焦っていることにすら気づいていなかった。
これってまさに、僕が普段実践している、
今この瞬間に気づいていることと同じじゃん!
今この瞬間に起きてくることを、
きちんと見て、気づきながら、
その時々で現実的な対処をしていると、
夢だという知覚が持続し、
本当に夢のフィルムが消えてゆくのが分かり、
ここが幻影の世界だという知覚が芽生えてくる。
というわけで、僕はまだ、
寝ている時に見ている夢の中で、これは夢だ、
と気づいた体験は数えるほどしかないが、
これからはもっと増えてゆくような気がしている。