⇧ みんなマスクをして走っている
苦しそー!僕は遅い時間に行き、
マスクを外して走っている
走ったら痩せる、というのは本当である。
だが、
それにはいくつかのコツがあることが判った。
①一生懸命走らない
息が上がったりお腹が痛くならない速度、
これならいつまででも走っていられるな、
くらいのゆっくりした速度でダラダラ走る
②長時間走らない
20分くらいを目安に、そのかわり毎日走る
③お腹に力を入れて走る
おなかを引っ込めるようにして走る
コロナ禍でジムが閉鎖になってトレができず、
仕方なく競馬場で走り始めた僕であったが、
上記の三つを守っていれば自然と代謝が上がり
少々爆食いしても決して太らないどころか、
痩せることが判明した。(ドヤ!すごいやろ!)
というのも、
毎日ランニングコースで見かけていたある男性、
(身長約180cm/体重約100kg/年齢約35歳)
が、ここ三か月で、
あれよあれよという間に、どんどん痩せてゆき、
別人のようなイケメンになってしまったのである。
まあ、彼とは別に知り合いでも何でもないのだが、
毎回僕と同じ、人のいない遅い時間にやって来て
僕は左回り、彼は右回りで走るので、
何回もすれ違ううちに覚えてしまったのだ。
超デブだった彼は周囲の人がドン引きするくらい
いつも、全身汗だくで走っていた。
まあその汗の量たるや半端なく、たった今、
水の中から出てきたように全身ずぶ濡れで、
すれ違う時、彼の汗がかからないように、
思わず避けて通るほど、
Tシャツも短パンも水浸しなのだ。
そんな彼が、必死のパッチで走っている姿に、
僕も最初は〝うわ、イタッ!〟などと思っていた。
が、しばらくすると、見る見るスリムになってゆき、
そしてある日、
髪をツーブロックに刈り(以前はオタクロン毛)
眼鏡ナシでやってきた彼の変身ぶりに、
おおーっ、とのけ反ってしまったのだ。
多分、食事制限もだいぶ頑張ったのだろうが、
本来長身なこともあり韓国の俳優みたいになった。
マジで、高木ブーが松坂桃李になっちゃった!
(ほんとうなんだってば、奥さんっ!)
彼はもう姿を見せなくなったが、彼の変貌ぶりは、
僕に大きな衝撃と、ある種の感慨をもたらした。
自分の中には別の自分が眠っており、
それを露わにする作業が彼にとってはランニングだった。
そして、店員さん、電車で乗り合わせた人、
ウーバーや宅配業者の人、など、
一瞬すれ違っては消えてゆく、
自分とは何の関係もないと思っている人達の中に、
聖性を思い出させてくれる兄貴が紛れ込んでいる。
僕は小説を書くので、街ですれ違う人達のことを、
詳細に観察する癖がついている。
今回も、自分の事ばかりで人に無関心でいたら、
きっと彼の変身ぶりにも気づけなかっただろう。
兄貴との交流についても、
無意識のうちに排除しがちな人やモノや事柄を、
決して無視することなく凝視してきたからこそ、
初めて兄貴がリビングのソファに姿を現した時、
ちゃんとその存在に気づけたのだと思う。
もしあの時、
僕が自分の問題のみに没頭していたら、
きっと、兄貴が姿は見えなかっただろうから。
聖霊、アサンデッドマスター、ハイヤーセルフは、
今この瞬間に顕われている人やモノや事、
特に、普段気にも留めずに通り過ぎる、
自分とは全く無関係なものに顕われている。
その事実だけを見れば、一瞬で終わる。