ある日《ミヤコ蝶々のビッグショー》」という動画が、
YOUTUBEのおすすめ欄に出てきたので見てみた。
ミヤコ蝶々という名前と顔はぼんやり知ってはいたが、
大阪弁でズケズケ言うおもしろいおばさん、
というくらいの印象しかなかった。
ただ《ビッグショー》という歌番組は、母が好きで、
当時小学生だった僕も一緒に見ていた記憶がある。
毎週、その時代を彩る人気歌手や実力派歌手が、
コンサート形式でワンマンショーをする、という、
一時間の音楽番組だった。
何気なくクリックして見始めた動画だったが、
ミヤコ蝶々のトークに即行で引き込まれた。
生演奏のコンサートなのに、歌は4曲しか歌わず、
しかも、歌詞を書いた紙を手に持って歌っている。
後の時間は、ずーっとしゃべりっぱなしで、僕も、
お世辞にも上手いとは言えない歌の部分は飛ばして、
トークの部分だけを見た(笑)
弟子の男性と結婚したが子供ができなかったこと
夫が外で女を作り、子供ができたこと、
相手の女性に夫を渡すまでの愛憎と葛藤、
それでも毎日元夫と一緒に仕事をする苦しみ、
それらの葛藤をどうやって乗り越え赦していったのか、
やがて、元旦那が病に倒れ、
5年に及ぶ入院生活の中で、相手の女性とも別れ、
病魔に苦しむ元旦那に「あんた、もう死にぃ…!」
と、ひとこと呟いた時の思い、などを、
独特の関西弁で、ユーモアを交えながら語る。
彼女の背後に流れているのは〝深い哀しみ〟だ。
それが、彼女のトークに、
いぶし銀のような〝明るさ〟を与えている。
彼女は、憎悪、悲しみ、嫉妬、といった感情を、
彼女なりのやりかたで、ひとつひとつ赦していった。
それにしても、昭和のテレビってすごいな。
過激で、本音に溢れていて、それでいておおらかだ。
今、ビッグショーみたいな番組をやろうものなら、
おんなじような顔をした大人数のグループが出てきて、
ファンの人だけ見て下さい、的なものになるのだろう。