最近、
5官の働き(視覚/聴覚/触覚/匂い/味)の中でも、
〝匂いの活動〟にハマっている。
というのも、
上海灘(シャンハイタン)のルームスプレイを、
メルカリでゲットできたのだ。
香港へ旅行したことがある人ならご存じかと思うが、
上海灘は、60年代のオールド香港をコンセプトにした、
香港では有名な高級ブティックで、
店内に流れているジンジャー・リリーの独特な香りは、
この店を象徴するものとして多くの人達を魅了してきた。
僕が中国での留学を終え、香港で働き始めた当時、
上海灘の商品は文字通り、高嶺の花、だった。
そして、初めてもらったボーナスで、
ここのシャツを買った時、すごくうれしかった。
匂いって不思議だ。
このジンジャー・リリーの香りをかいだだけで、
異国の地で懸命に生きていた当時の〝匂い〟が、
ふわーっと甦ってくるのだ。
いま、あの当時のギラギラした香港はもうない。
上海灘も規模縮小で、普通のブティックとなり、
この香水も絶版になってしまった。
どんなに失いたくないものでも、必ず消えてゆく。
だからなおさら、輝きを放つこの一瞬を、
大切に生きよう、と思うのだ。
この上海灘のルームスプレイだが、
部屋に使うのはもったいないので、
衣服に噴きかけたり、ハンカチに付けたりして、
コロンのように使っている。
この香りをまとうことで、僕と関係のある誰かが、
別のどこかでこの香りに触れた時、
僕のことを思い出してくれたらなあ、
と思ったりする。