
👆 北野病院の耳鼻科外来の受付
真冬の体調不良シリーズ、第何弾??である。
今年の二月のことだ。
夜、寝ようと思ってベッドに入ってしばらくした頃、
キーンという、ものすごい耳鳴りに襲われたのだ。
これまでも、エネルギーが高まる夏至の前なんかに、
耳鳴りがすることはあったが、今回のそれは全く違う。
電波をチューニングするようなキュルキュルという音が
両耳の奥で、ぐわんぐわん鳴り響いている感じである。
やがて急激な睡魔がこみあげてきて、僕は爆睡した。
明朝、目を覚ませば、左の耳が聞こえなくなっていた。
耳鳴りの音が外界の音を上回っているような感じ…。
びっくりして、耳鼻科の診察を受けた。
毎度おなじみ、あの頑固オヤジ先生の所である。

👆 北野病院のシステムはしっかりしていて
手続きのストレスは全くなかった
聴力検査をしてもらうと左の聴力がかなり低かった。
明日の朝一番で北野病院の柚木先生を訪ねなさい、
と、紹介状を渡された。
「明日は雨なので、明後日でもいいっすか?」と訊けば、
「だめ!」と、先生は僕を睨みつけるように言った。
万が一突発性難聴だった場合、発症から48時間以内
に治療を開始しないと聴力が戻らなくなるのだという。
もう、びっくりして、朝一で北野病院へ向かった。

👆高齢者が多いからか、スタッフさんの声でかい
自宅から歩いて10分くらいの所にある北野病院は、
大阪でも有名な大病院で、受付30分前に来たのに、
一階ロビーはすでに、外来患者でごった返していた。
内科や小児科ならともかく、耳鼻咽喉科だから、
患者はそんなにいないだろうと思っていたら、
耳の遠いお年寄りがわんさか詰めかけていた。
それでも、紹介状枠で比較的早く診察してもらえた。
柚木先生(20代男/小柄/眼鏡/顔色悪い/ガリガリ)
に経緯を話すと、先ずは検査を…、となった。
こんな若くて大丈夫かと思ったが、隣の診察室から、
横柄な口調で話す年配の先生の声が聞こえてきて、
やっぱり柚木先生がいい、と思い直した。

👆 こちらは大柄な口調の先生の診察室
検査は色々あった。
内視鏡検査、鼓膜と中耳の検査、そして聴力検査だ。
ひとつの検査が終わるたび、30分ほど待たされた。
一通りの検査を終えた後、再度医師に呼ばれた。
内耳、中耳、聴神経、耳管、共に異常なしだった。
へ?どういうこと?
そう言えば、聴力は回復しているような気がする。
周囲の音や声もちゃんと聞こえている。
しかし、相変わらず耳鳴りはしていた。
柚木先生曰く、今回の難聴は一過性のもので、
特に、薬を飲んだり、などの治療は必要ないという。
(なんだよ、あの頑固ジジイ、脅かしやがって…。)
しかし、あくる日も、耳鳴りは続いていた。
その夜、
ふと思い立ち、その耳鳴りの中へとダイブしてみた。
キュルキュルという発信音のような音の向こうで、
何かを唱えているような、規則正しい〝声〟がする。
その声のようなものを聴いていると、
なぜかとても穏やかな気持ちになった。
そして、あまりの心地よさに、いつしか眠ってしまった。