耳鳴りのために訪れた病院では、
奇跡講座のテキストを読みながら検査待ちをした。
どうせ待たされるだろうと覚悟していたので、
その時間を有効に活用しようと、
テキストをカバンに入れて家を出たのだ
北野病院では、
待合ロビーにドトールコーヒーが併設されていて、
コーヒーを飲みながら順番を待つことができる。
看護師さんも、店内まで呼びに来てくれる。
奇跡講座のテキストを読むのは本当に久しぶりだ。
ぱっとページを開けば、第18章の《過ぎゆく夢》だった。
この世界は寝ている時に見る夢と同じだと書いてある。
そうであれば、僕たちが見ているこの現実世界も、
寝ている時に見る夢と同じ特徴を持つことになる。
寝ている時に見る夢の最大の特徴は、
見ている映像が脳の作り出した幻影である点にある。
僕たちは、ベッドで目を閉じて眠っているだけなのに、
脳が作り出す様々な映像に反応しちょちょ舞っている。
そして、目覚めた後、夢だったことに安堵し、忘れ去る。
起きている時に見る夢もこれと全く同じである。
その証拠に、昨日の事、1年前の事、10年前の事、
すべて消え去り、いまはもう跡形もない。
この夢の中にいる自覚をもって生きること、
それが決定的に大切なのである。