
昨日の夜、空っぽだった頭の中に、突如、
嘘つきでどうしようもない自分、
みんなから嫌われるようなことを無数にしてきた俺、
ごまかしてほくそ笑んでいるいやらしい自己、
といった、罪悪感を象徴するような記憶が、
どわーっと一斉に湧き上がってきて、
どうしようもない恐怖とやり場のない不安感に
押しつぶされそうになった。
きっかけは、ある人から言われた何気ない一言で、
そこから一気に毒素が広がっていった感じだった。

ベッドの上に仰向けになり、
「全部任せますから、判断の一切を渡しますから、
本当に何もしないので、全部兄貴がやって下さい」
と、天井に向かって、僕は大声で叫んでいた。
世界中から糾弾されているような孤独感…。
ぐわんぐわん鳴り続けるみぞおちの苦しさに対して、
もう、なす術もなく、ただ大の字に兄貴に曝け出し、
助けを求めていた。
幸いなことに、これらの苦しみは全部ウソだ、
ということだけは、はっきり理解できていたので、
「何でもしますから、どうか僕を正気に戻してください」
と、発狂しそうな罪悪感の中、兄貴に祈り続けていた。
湧き出てくるネガティブな思いはそのままに、
徐々に兄貴の方へと意識が傾いていった。
部屋にある物、母、妹、同僚、生徒達、友人たち、
エアコンの音、空気、空間、自分の肉体、などが全て
神というひとつの〝理解〟に置き換えられてゆく。
その思いに触れた瞬間、爆発的な感謝が噴き上がり、
絶対的に無罪であった事実を前に、
僕はひとり、大声を上げて大号泣していた。