
👆僕の胃袋を満たす店〝まんぷく屋〟
惣菜類は150円~250円と、とにかく安い
昨夜見た夢は、
絶対に、兄貴が僕に見せた夢だ、と思った。
もう、本当にリアルで、登場人物の顔まで覚えている。
夢の中の僕は、格安の団体ツアーで香港に来ている。
そこそこ高級なホテルに一泊した早朝、朝食の前に、
大浴場でひと風呂浴びようとロビーへ下りたのだ。
しかし、大浴場の場所をホテルの人たちに聞いても、
みんながみんな、新人なので知りません、と答える。
従業員が知らないのならお客に聞こう、と思った僕は、
レストランで食事をしていた家族連れに聞いてみた。
「それなら俺たちが連れて行ってやる」と父親が言い、
それからなぜか僕たちは、タクシーに乗って、
大浴場がある場所まで向かった。
タクシーを降りたが、そこに大浴場はなく、
どこに大浴場があるのか、と聞けば、あそこ、と、
ヘンなビルを指さし、自分たちは買い物を始めた。

👆お爺さん二人でやっていて西成にある
ビルに近づくが入り口がない。
どうしよう、ツアーの集合時間が迫っている。
スマホもないし、連絡の取りようもない。
僕は流しのタクシーを捕まえ、ホテルへ戻ろうとした。
やっとつかまえたタクシーだったが、気がつけば、
フィリピン人女たちに横取りされ、次に来たタクシーは
ビジネスマンの男に取られそうになったので、
そうはさせるか、と、彼を必死で追い越そうとする。
やっとタクシーに乗るが、ホテルの名前が分からない。
もうだめだ、自分は二度と日本へは戻れない、と、
絶望の中ではっと目覚めた。
時刻は午前4時。びっしょり寝汗をかいている。
見ていた夢の緊張感がリアルすぎて立ち直れない。
僕は、浴槽に湯を張って、お風呂に入ることにした。


👆お願い、閉店しないで!
湯に浸かりながら、さっきの夢について考えてみた。
夢の中の僕は、まるで居眠り運転をしているように、
無意識的で、無秩序で、行き当たりばったりだった。
そのくせ、自分で問題を解決しようと躍起になり、
自分で全ての物事をコントロールしてるつもりだった。
しかし、決定はデタラメで、結果は絶望しかなかった。
きっと兄貴から見た僕も、こんな感じなのだろう。
〝あなたは、自分が何であるのかも知らず、
従って、 自分が何をしているか、
どこにいるのかも知らないし、世界を、自分自身を、
どう見ればよいのかも知らない〟(コースの言葉)
自分はこの世界で、過去の経験を最大限に生かして、
最善の決定を下しているように見えているけれど、
夢遊病者がする判断は常に狂っているという事実。
今回のリアルな夢は、夢の中の自分は何もできない、
だから、夢の外にいる兄貴に全部任せるべきだ、
という事実を伝えるために見せられた夢だった。
そうなのだ。
僕はじっと動かず、赦すことしかできない。