
👆長浜の炉端の店で晩酌
5年ほど前の〝彼が復活した日〟という記事の中で、
ずっと僕の後ろをつかず離れず伴走していた兄貴に、
僕が気づいて近寄って手を差し出した瞬間に大号泣、
という話を書いたが、今その兄貴が自分の前にいる。

どういうことかと言うと、説明を分かり易くするために、
奇跡パパの青いバイクを例えに使わせて頂けば、
10年前は、ツーリングの計画も俺が立て、
どの道をどう行くかも全部俺が決めて、
俺のやりたいように、俺が俺が、で走っていた。
そして、
そんな俺の後ろを兄貴が必至で付いて来ていた。
それが、5年前には、
あの車、もたもたしててウザいんだけど、
追い越していいかと兄貴に訊きながら走るようになり、
そして今は、兄貴がハンドルを握っていて、
自分は、どこへ連れていかれるかもわからない状態で
兄貴の後ろに座り、振り落とされないよう、
腰につかまっているだけだ。

なんていうか、
自我でやってる自分と縁が切れてきたというか、
サラリーマンだった頃は、65歳で定年になり、
その後は年金で暮らしながら、小説をコツコツ書いて、
ささやかな楽しみを味わう、みたいな人生なんだろうな
という、漠然とした未来を描いていた。
しかし、今の僕はもう明日どうなっているか分らない。
それでも、兄貴の腰にしがみついている。
怖くない、と言えばウソになるが、それでもいい。
兄貴はバイクを運転しながら、うしろの僕に、
あらゆることに罪はなく、これ全部ウソだ、
と教え続けてくれている。
もう、このまま突っ走るしかない。