
今回、香港に滞在している間中、次から次へと、
過去に香港で経験した様々な記憶が思い出され、
止まらなくなった。

広東語を耳にすれば、
習いたての僕の広東語がヘンで、みんなに笑われ、
ものまねされて恥ずかしかったことが思い出され、
昔の香港人の部下に似た女性が通り過ぎれば、
その部下の女性に逆切れされた記憶がよみがえり、
転職エージェントの広告が目に入ると、
転職が上手くいかず悲壮感に暮れていた日々が、
脳裏に浮上してきていたたまれなくなった。
他にも、態度の悪い店員とケンカした思い出、など、
何を見ても、何を聞いても、そこから過去の記憶が、
引きずり出されてくる。

普段なら、「そう言えばこういうこともあったなあ」
と、過去を懐かしむ程度なのに、今回はなぜか、
そんな懐かしい大昔の記憶と共に、当時味わった、
悔しさ、腹立たしさ、悲しみ、といった激しい感情が、
怒涛の如く湧き上がってくるのだった。

抑えつけられ、隠されてきた、当時の思いが、
今、ここぞとばかりに一気に押し寄せてきている。
ちゃんと受け止め、兄貴に返し続ける。
これらは全て夢で、はなから起こってもおらず、
自分はずっと無罪だったことが今なら解かる。
当時、僕を傷つけたと思っていた兄弟たちが、
今、神の使者となって出てきてくれている。
その時代時代を懸命に生きていた当時の自分が、
香港の街並みにオーバーラップする。
街を歩きながら、ただただ赦し続けていた。