
第一週目の授業がようやく終わった。
初めてのクラス、初めての教室、初めての生徒達、
それが原因で、昨日はてんやわんやな1日だった。
午前の授業は何の支障もなく順調に終わったのだ。
そして、僕は午後の授業がある4階の教室へ向かい、
パワポのセッティングをし終わった頃、
この教室の講師表に僕の名前がないことに気づいた。
で、わざわざ2階の事務局に降りて確認をすれば、
僕のクラスは6階の教室に変更になったという。
(僕への事前の連絡はなかった)
僕は慌てて4階へ戻り(教室に内線電話がない)、
PCや教材を片づけて6階の教室へと向かった。
しかし、
その時にはすでに授業開始時間を過ぎていた。
それでも気を取り直し、授業をしようとしたら、
初回の授業で生徒達に配る教科書が届いていない。
再び2階まで降りる気力がなかったので、
スマホで主任に電話をかけ、その趣旨を伝えた。
教務主任と、事務の人と、男性職員がやってきて、
確認をしたが、やはり配る教科書がどこにもない。
彼らは、校内中を調べるために再び出て行った。

教科書が無ければ授業ができないので、僕は、
自己紹介を兼ねて、各生徒一人一人と会話をしつつ、
日本語の会話レベルを確認していくことにした。
例の3人が大きな段ボールを抱え教室へ戻ってきた。
聞けば教科書は変更前の4階の教室にあったという。
教室が変更になった際に、生徒に配る教科書を、
移動させるのを忘れていたのだ。
だいぶ時間が過ぎていたので、授業をするのを諦め、
僕は、顔写真付きの座席表に沿って、生徒一人一人と
対話を続けることで、この時間をなんとか乗り切った。
授業を終え、僕が片づけをしていた時、
一人の生徒がとても悲しそうな表情でやってきて、
「僕だけ、先生と話ができませんでした」と言った。
へ?なんで?全員と話をしたはずだけど、と思い、
座席表を見れば、彼の名前がどこにもない。
事務局のミスで彼の名が座席表から漏れていたのだ。
座席表に彼の名前がないということは、
彼の座る席もなかった、ということだ。
聞けば、彼は空いている席に座ったという。
僕はもう大謝りで、この生徒に謝罪した。
「先生は悪くないですよ」と言ってくれたが、
たとえ座席表に彼の名前が無くても気づくべきだった。
教務主任にこの件を伝えると、すぐに対処して、
学生のフォローもしておきます、ということだった。
教室変更事件、教科書無い事件、座席表漏れ事件、
と、去年の僕ならばブチ切れていたはずなのに、
今年はなぜか、誰も責める気にならなかった。
常勤講師が新学期直前で辞めてしまったからなあ、
と、表面的な理由で納得させたわけでもなければ、
責めるのをやめよう、と我慢したわけでもなく、
フツーに、起きては消えてゆく夢の映像、として、
起こっている通りに、淡々と流れのままに動いていた。
もう、なんていうか、夢を相手にしなくなってきている。
そのことがすっごくうれしい。