風邪をひいたのか、アレルギーなのか。
喉が痛い。鼻が詰まって息苦しい。目が痒い。
会社近くのメディカルセンターでお医者さんに診てもらう。
風邪とアレルギーの両方だった。
鼻づまりがひどい、というと ZYNTEC-D という薬をくれた。
これを飲むと、12時間鼻づまりがピタリと止まるという。
飲んだら本当に止まった。ああ、よかった。
待合室で順番を待っている時、ずっと〝ひとつの父〟を感じていた。
自分はすでにここにいて、安全だと…。
風邪をひいている自分も含めて関わらないと、俯瞰して観る。
と、その時、軽い虚無感に襲われた。
帰りたいけど帰れない。
安全で平和な場所にいるはずなのに、どこをどう間違ってしまったのか、
大好きな故郷から遠く離れ、自分は今、とんでもないところにいる。
帰るまでにはまだたくさんのあると思っている罪悪感を赦さねばならない。
ああ、どうしよう、という絶望感。
さっきまで、暖かく安全な我が家で、優しい両親とともにぬくぬくと暮らしていたのに、
突然、敵だらけの荒野におっぽり出されてしまった。
両親の記憶を思い出せば出すほど、今とのギャップに、やりきれなさがこみ上げてくる。
いくら何も起こっていない。すでに、自分は我が家にいるのだ、と言われたって、
この現実世界で、しばらくやっていかねばならないことには変わりがない。
いちなる神を感じても、マトリックスの世界にはい続けなければならないのだ。
と、ここでまた切なさがわわわーっとこみ上げてくる。
こんなことを感じている自分も含めて虚像だ、と赦し、兄貴に預ける。
切なさがこみ上げても無視し続けた。
それでも、回復しないこの軽い絶望感。
他人と口も利けず、仕事もできないほどではない。
普通に笑顔で会話もできる。
生活はちゃんとできるのに、この欝っぽい感じってなに?
リトリのときに、幾人かの方が同じような体験をシェアされていたが、
自分には無縁だと、どこかで思っていた。
多分、これも戻ってゆくための、ひとつのプロセスなのだろう。
あの手この手で何とかしようとはせず、それに意味をつけることもなく、
いまはただ、放置するに任せている。
そうすることが自分への最大の癒しだと思うから。