木曜の夕方、佛山から香港へ戻ってきて、
アパートの前でタクシーを降りると、
玄関ホールのガラス扉に、補強テープが、
バッテンの形に貼られてあるのを見て嫌な予感がした。
保安員に聞けば、明日の朝、台風が直撃するという。
それも8号台風警報が出るということで、
8号が発令されると、学校や会社が休みになり、
主要交通機関もすべてストップしてしてしまうのだ。
うわ、やばっ!
明日は朝8時45分の飛行機で日本へ帰るのだ。
便が欠航になれば、僕と同じような乗客に交じって
別のフライトを予約しなおさねばならず、
今晩宿泊する予定のホテルも、宿泊日数を変更し、
ネットで払い戻しの手続きをする必要が出てくる。
それから歯医者の予約の変更や、
佐藤氏との飲み会キャンセルの電話など、
やることがたくさん出てくる。
当然、デイヴィッドのセミナー参加もおジャンである。
まあ、何が起こっても赦すしかないので赦すのだが、
これら、一連の処理のことを考えると、
もう面倒くさくて、面倒くさくて、嫌になってくる。
とりあえず、チケットを予約したHIS香港の和田女史に
電話で相談してみた。
彼女からは、それならいっそのこと、今夜1時の
深夜便で台風が来る前に飛べばどうかと言われ、
空席状況を調べてもらうが、どの便も満席だった。
仕方がないので、明日早めに空港へいき、
状況を見ることとなった。
「たとえ台風直撃中でも、必ず空港へ行くこと。」
と和田女史からは何度も念を押された。
とはいっても、明日の朝台風が来たら、
どうやって山のアパートから駅まで行くのか。
タクシーなんて走ってないに決まってる。
もう、メンドーでイライラしてくる。
〝なんだこの台風。マジ空気読めない。
こんな10月の終わりなんかに来やがって。
11月に来るくらいの根性を見せろ!
この、コンババ台風がっ!きいぃーっ!〟
(※コンババ: 根性ババ色)
ああ、そうだった。いけねえ、いけねえ。
はいはい、兄貴。
意識を今に戻す。聖霊兄貴を思い出す。
これ全部、嘘だった。自分は騙されていたのだった。
台風が来ることで、自分が損失をこうむる、
と思いこんでいるけど、本当にそうなのか?
台風で飛行機が飛ばず、一日移動がずれました。
以上。
デイヴィッドのセミナーに1日参加できませんでした。
おわり。
これは夢であるが故に赦されるべき損失などなく、
赦すべき誰かもいない。
だからこそ赦すことが可能なのだ。
それでも、びゅんびゅんは〝ふっ〟とあがってきて、
それを聖霊に委ね、知覚の訂正を依頼し続ける。
また、心の片隅の片隅の奥の奥に残っている、
〝聖霊にお願いする姿勢〟も赦した。
「飛行機が飛ぶか飛ばないかは聖霊に任せますが、
できれば飛んでほしいです。
あくまでも、聖霊の判断に任せますが…。」
聖霊を利用して、自分の思惑通りに物事を操作しよう
とする分離の思いを認識し、明け渡してゆく。
というわけで、
今日は朝、5時に起きて、家を出た。
案の定、8号台風警報が発令されていた。
和田女史の教えに従い、空港へ向かう。
タクシーを待つが来ない。バスもない。
仕方なく歩き出したら1台来た。やった。乗る。
エアポートエクスプレスの出発駅までと告げると、
飛行機なんて飛んでるの?と運転手が言った。
空港に着いた。ボードをチェックする。
マジやばい。ほとんどが欠航になっている。
その中で、8時45分発の羽田便だけには、
欠航の表示がなかった。えっ、ひょっとして…。
はあ、乗れた。
さっすが、イケイケなキャセイ航空。欠航にして、
マジ切れする客の対応に追われるくらいなら、
いっそ、飛ばしてしまえ、というノリがいい。
そういうわけで、無事、羽田に到着した。
しかし、赦しまくったせいか、
やった!聖霊に委ねてうまくいった!よかったあ!
とはならない。
一応、2年ほど心の訓練をしてきているので、
さすがに、もう、それはない。
もう、X女史はホテル入りしたかな?