↑ 今回一番お気に入りの物件。温かみのある色使いが気に入った。
今回の工場視察は本当に暑さとの戦いだった。
がらんとした工場の中は45度くらいにはなっていたと思う。
暑さで頭が朦朧とする中、海千山千の大家さん相手に価格などの交渉をする。
工場の持ち主はだいたいが地元農家の村人で、いわゆる元お百姓さんなのだが、
この人たちがまた、ツッコミどころ満載な人たちなのだ。
何を聞いても帰ってくる答えのすべてが〝とんちんかん〟。
・このフロアの長さと幅を教えてください。
→ 歩いて歩幅を数え「180メートル…くらい!」と叫ぶ。
(自分の歩幅が何センチか知ってるんか!)
・(建設中の工場で)いつ完成予定ですか。できるだけ早いほうがいいんですけど。
→ じゃあ、来月いっぱいで。(ええっ、まだ基礎しかできてないのに?)
・契約期間は何年ですか。
→ 3年でも5年でも10年でもOKだよ。でも家賃は毎年上げさせてもらうけど。
(家賃がころころ変わる契約って一体何なの?)
・あのう、ここ柱が2本しかないんですけど…。
→ 検査局の人が大丈夫って言ってたよ。(どう見ても大丈夫じゃないだろ!)
それでなくても暑さで倒れそうだというのに、この人たちを前にして力が完全に萎えた。
しかし、真黒に日焼けした彼らの表情にはまったく邪念というものがない。
自己の欲望に100%忠実に今を生きている。複雑な策略などは一切めぐらさない。
さらけ出して恥じない潔さがある。
今回でこの幻想世界を終わらせ、父が待つ故郷に帰る人たちというのは、ひょっとして
こういう人たちなのではないか、とさえ思った。
まあ、こんな感じで、2日間の視察は終了した。
こういう視察は、まずコンサル会社やその地域に詳しい日本人の知り合いにこちらの条件を
伝え、一番適した地域と物件をピックアップしてもらう。
そして、当日は市政府の人と一緒に各村を回る。
昼食はたいてい、村長さんが村1番のレストランに招待してくれ、そこで御馳走になる。
暑いし、満腹だし、車ででこぼこ道を移動だし、おまけにスーツ着てるし、で
ホント、もうマジで死ぬかと思った。
だが今回は、よい条件の工場を見つけることよりも、自分の赦しに専念した。
工場を視察しながら〝いまここ〟で同時に起こっている無数の過去世で、別の何かを
視察している自分を意識して過ごした。
いま、目の前にいるこの人たちを自分の過去世(または来世)だと認め、赦し、そして、
世界はない、と兄貴に渡すことで、この無数の過去世(来世)を消去してゆく。
この各工場の大家さんたちも、自分の内部の光を映像化した、自分の一部なのだ。
そして、彼らは過去世の自分でもあり、今度やるかもしれない自分でもある。
↑建物が完成するまで作業員さんたちはこの工場の中で暮らしている。
罪悪感が消去されるたびに、体が震えたりとか、涙が出たりとか、
ファンファーレが鳴り響たりと、なにか合図があればわかりやすいのだが、
なんにもないから、実感が感じられない。しかし、兄貴は着実に仕事をしてくれている。
ああ、それにしても最近移動が多すぎる。
もうどこにも行きたくない。人にも会いたくない。乗物にも乗りたくない。ずっと家にいたい。
専業主夫になりたーいっ!(要家政婦さん)。