江門市の工場視察を終え、夕方バスで珠海まで移動した。2時間くらいで着いた。
珠海はマカオに隣接した経済特別区で、海水浴場なんかもあり、全体的にリゾートっぽい。
昼間、炎天下の中をあちこち視察して回ったので、ホテルに着いた頃にはよれよれだった。
ホテルのデリカでパンを買って食べ、そのまま爆睡してしまう。
朝方、暑さに目醒める。
見れば、エアコンは23度に設定してあるのに、室温が28度になっている。
すぐに修理の人を呼んで、見てもらったが、やはりぬるい風しか来ない。
修理の人は「無問題!もう直ったよ!ちょっとだけど、冷たい風が来てるよ!」という。
しかし、通風口に手をかざしてみても、〝ちりりん〟と冷えた風は感じられない。
部屋を変えてほしい趣旨をフロントに伝える。すぐに服務員がやってきて、
「階下の部屋に移動しますので、荷物を全部まとめてください」という。
ええーっ、今から荷物をまとめるのは面倒くさいし、あと何時間かしたらチェックアウトだし。
だけど、この蒸し熱い部屋に1分だっていたくない。
再度フロントに電話をして、荷物はそのままこの部屋に置かせてもらって、
パソコンだけ持って、別の部屋で時間まで仕事をさせてくれ、とお願いする。
しかし、マネージャーが出てきて、それはできないという。
その瞬間、衝動的に〝ムッカーッ〟と込み上げてくる感情を感じた。
エアコンが壊れたのはホテル側の責任だろう!
ここは5つ星ホテルだよね?
あと何時間でチェックアウトするのに、いまから荷物をまとめろと?
なめとんのか、おんどりゃ、こんどりゃ…。
この衝動的な〝ムッカーッ〟を言葉にすると、だいたいこんな感じになるだろう。
うっ、となりつつも兄貴に委ねる。
黙ってこのままでいるより、ちゃんと言った方がいい、と直感した。
仕事をするので十分な環境を与えてほしい。時間もないし、片付けはできない。
結局、荷物はそのままで、向かいの海側の部屋を手配してもらえた。
さっき、相手を攻撃することになる、ということでじっと黙っていたら、
きっと心の中で相手を攻撃し続けることになっただろう。
何も言わず、暑い部屋で、この感情を赦すのだ、とじっと赦しを行うより、
ここは〝すぱっ〟と表現して、後はなるように任せた方がよい、ということを学んだ。
結果、こんな素晴らしいシービューのお部屋に。
マネージャーさん。無理言ってすんません!