恐怖の工場視察第2弾、行ってきた。
朝8時半から夕方5時まで、今回は6件ほど見た。
佛山市の誘致促進部の副局長さんなどと一緒に回る。
いやあ、今回も暑かった。多分、体感温度は50度くらいにはなっていたと思う。
ただ、不思議だったのは、この暑さがエクスタシーに変わっていたということだ。
あまりに暑くて、その暑さを「ひえー、あついーっ!」と逃げずに思い切り感じていたら、
次第に不快感が気持ちよさに変わっていったのだ。
以前、スワットしおちゃんが、病院でなにかすごい痛さを伴う処置を、麻酔なしで
おこなったことがあるそうで、そのとき、痛さに対する恐怖が頂点に達した際に、
その怖さが反転してものすごいエクスタシーに変わったという話をしていたが、
僕もなんかそんな感じだった。
暑さに包まれていることに〝ひゅんひゅん〟する。
これはSMのドMの人の感覚に近いのかもしれない。
彼らは苦痛を快感に転換するコツを心得ていて、それを儀式化して楽しんでいるのだと思う。
いよいよ僕もそう言う人たちの仲間入りになりつつある。
しかーし!
そんなエクスタシーも、例の天真爛漫な工場の大家さんたちの前では、何の役にも立たない。
一軒目はまだ建てている最中の工場だった。
40歳くらいのインテリっぽい大家さんで、人任せにせず、暑い中、
自分でテキパキ現場を仕切っていた。期待していろいろ質問をする。
「家賃は1平米何元ですか。」「うーん。14元か15元か16元。」(どれやねん。)
「家賃は毎年上がりますか。」「うん。上がるよ。20%くらい。」(じゃあ5年で2倍?)
「階段の造りがちょっと頼りないんですが…。」「冇問題(大丈夫だよ)。」
と言って、大家さんは階段の上でジャンプを始めた。彼が飛び跳ねるたび、
セメントがぽろぽろと下に落ちてゆく。
それに、なぜか床に水も溜まっているし…。
「これは雨が吹き込んできたんだよ。」と言っているが、
水浸しになっているのは最上階だけ。あっやしいー。
2件目はすでに出来上がっている未使用の工場で、なかなかいい感じだ。
ただ、村の持ち物だとかで、公開入札によって借主を決めるとのこと。
ただ、公開入札に参加するには、まず、この工場を絶対借ります、という契約書に
サインしなければならず、入札の可否が出るまでは、ほかの工場を借りることができない。
一体だれがこんな契約をするのだろう。不思議だ。
もうひとつも建設中の工場だった。
いつ完成ですかと聞いたら、いつから入りたいですかと聞かれたので、8月末には、
と答えたら、じゃあ、8月末で、と返事が返ってきた。
でも、素人の僕が見てもそれは無理だろう、と思うような感じだ。
そんなこんなで、全部見終わった頃には、すでに香港行きの最終列車の時間に
間に合わなくなっていた。仕方なく、バスで深圳まで行き、
そこから歩いて国境を抜けることに…。
これがまた、すごいバスで、座席の前の幅が狭いのに加え、満員状態の車内は
エアコンがほとんど効いていない。
シートの背もたれが固定されておらず、シートに凭れたら後ろまで倒れ、
離したらもとに戻るという代物だった。要するに、自分の体重のかけ具合によって、
背もたれの角度がバネのように倒れたり、戻ったりするのだ。
自分の席だけかと思っていたら、全ての座席がそうだった。
2時間の辛抱だと自分に言い聞かせていたら、ものすごい渋滞に巻き込まれ、
結局3時間半かけて深圳に到着。地上に降り立った時には足がふやけて歩けないほどだった。
途中、どうしてもおしっこを我慢できなくなった女性が、危ないから出るな、
という運転手の制止を振り切り、バスを降りて高速道路の脇で用を足すという
ハプニングも起きた。旦那らしき男性が荷物で女性の前を隠していた。
ああ、あにき〜ぃ。これは地獄や。吐きそうや。もういやや。勘弁してくれ!
こんな設定を見せて、俺に何をさせようというんや。
この設定を削除して正しい知覚に修正してください、
なあんて、依頼するわけないやろ!そんな気力どこにあるねん。
修正された頃には、もう家に着いてるわっ!
そんな悪態をついたものの、今夜は、ゆっくり風呂に入り、
兄貴にちゃんと委ねまくってから眠ることにする。