昼前に起きて、明日の東京出張の準備をしていたら、また眠くなってきて寝た。
夕方からジムへ行き、帰りに近くの日本料理店でカツカレーを食べ、家に戻ってきた。
ワインを飲みながら、WOWOWで〝ウォーターボーイズ〟を観る。
こんな日曜日は大好き。
何の赦しもなく、思考の動きも緩やかだ。
もし、2週間休みがあったら、迷わず、今日みたいな1日を毎日過ごすとおもう。
ああ、怒涛の7月が過ぎて行く。忙しさは日ごとに増している。
しかし、こういう時間のないときほど、創作のアイデアが次々と浮かび、筆が進んだりする。
赦しを実践し始め、さまざまなことが終わっていく中で、
唯一、細々と続いているのが創作かな。
まあ、これも、兄貴が導いているのだろう。
〝終わりのない会話〟
いつものように枯葉のバーのカウンターでバーボンを飲んでいると、
隣の席にいた年配の男と、若い男との会話が聞こえてきた。
「僕はそんなことを言っているのではないんだ。決して決して、
そんなことを言っているのではないのだよ。」
と、年配の男がウィスキーのグラスをカウンターの上に〝どん〟と置いて言った。
「じゃあ、どんなことを言っているというのですか。」
と、若い男が言い返す。
「それはだな君、わたしはどうすれば終われるかについて語っているのだ。」
「そんなの無意味ですよ。だって初めから終わっているのだから。」
「なんだと、生意気な。」
「そっちこそ。」
「わたしは、まだ何にも終わっていないと言っているんだぞ。」
「僕は、はなから何も始まっていないと言っているんです。」
「こしゃくな!表に出ろ。」
「よし。望むところだ。」
そう叫んだかと思うと、二人は、ばんっ、とカウンターに両手をつき、
彗星のような長い光の緒を引きながら、
ものすごい勢いでバーを飛び出して行ってしまった。
(『ジンジャー・タウン』より抜粋)