またまた大どんでんがえし〜!
新しく賃貸契約を結び、会社設立を進めているF市の新工場だが、
おととい僕のところへ社長から電話があり、新たな事業が開始されるため、
もう少し広い工場を同じ工業区内で探してほしいと依頼された。
早速、管理所に問い合わせてみれば、
今回契約した工場より、倍以上の広さがある物件が、ひとつ空いているという。
社長に伝えると、今回契約した工場をすべて解約し、
新たにその大きい工場を契約し直してほしいと指示された。
そうなれば、再度会社設立登記をやり直さねばならず、内装レイアウトも白紙に戻る。
11月の初稼働には到底間に合わない。
うわっ。メンドー。
設定の自分が反応を開始する。
しかし、もう自分では何も言わない。なにもしないと決めている。
決めるのは0と1で設定された妄映の自分ではなく、兄貴だ。
一度視察に行って再度報告してください、と言われ、はい、とだけ答えて、電話を切った。
↑なぜか工場の屋内に、隣接する管理所のクーラーの室外機が…。
と言うわけで、昨日はK氏と共に、新たな空き工場の視察に行ってきた。
築5年の未使用工場で、三階建て。
三階に上がってみれば、床に水がたまっていた。他にも水たまりの跡が散見される。
聞けば、2,3日前に降った大雨で排水管が詰まって流れ出したが、
すでに修理済みであり、無問題(モウマンタイ)だという。
よく見ると、壁にも水跡が…。屋上に上って見れば、メットをかぶったオッチャンが、
表面のタイルを剥がして工事をしていた。タイルの下には濁った水がたまっている。
考えてみればヘンだ。
工業区の入口にあり、管理所にも近い。広さも十分で、家賃も手ごろだ。
こんなに良い立地条件なのに、5年も借り手がいないなんておかしい。
それに管理所のマネージャーが、妙にこの建屋を神推しするのだ。
「事業拡大に備えて、少し広めのスペースを確保しておいた方が賢明ですよ。」
「ここは立地条件も最高で、今借りるんだったら、家賃は2割引ですよ。」
いわくつき物件を薦める不動産屋さんのような笑みを浮かべ、
無問題を連発するマネージャー。怪しい匂いがぷんぷんする。
もしここに宜保愛子がいたら「ほら。あそこに、立ってますよ!」とか言われそうではないか。
ううー。何か言いたーいっ。こんなツッコミどころ満載な面白い物件を前に、
何も言わない、何もしない、なんてぇー。
でも、設定の自分では、何も言わない、何もしない。
記号でできた相手がどんな表情を見せようと、また、設定の自分がどんな反応をしても、
ハートの奥にいる〝そこ〟に任せる。
そのとき、見ている自分の奥にある〝そこ〟が、ぬるり、と動いた。
そこを外さず強化してゆく。そこにとどまる。
いままでは、兄貴自動モードにしながら、その時々であるがままに受け答えしていた。
記号でできた自分が何を言ったとしても、自分に責任はない、というスタンスだった。
でも、昨日からはほんとうに動かないことにした。
動かない、というのは、ただ椅子に座ってじーっとしている、という意味ではない。
記号で作られた設定の自分が意図するように事を運ぼうとしない、ということだ。
ふいにK氏が「今借りている工場の横に、もう一軒工場を建てたらあきまへんの?」
と、べたな関西弁で提案した。
「1年くらいで建ちまっしゃろ。」と交渉する。
「無問題!工場を建てる予定はあったからね。借りてくれるんだったら急いで建てるよ!」
とマネージャーも乗り気だ。
まあ、そんな感じで昼過ぎに香港へ戻ってきた。
何にも起こっていないことを認識する。それが赦すということだ、
というのを実践した一日だった。