↑国家主席がこんなんになっちゃった。香港中の人から憎まれるってどんな感じなのだろう。
その人は11月3日に入社してきた。
この会社に一大旋風を巻き起こすような人材を、
ということで社長直々に入社させた営業部長だった。
しかし、人事を長年やってきた僕は、一目彼を見た瞬間、この人材はやばい、と分かった。
43歳の独身男性で、短髪小太り、最初はハキハキと受け答えしているが、
やがて詰問するような口調に変わり、机をたたきながら攻撃的な言動を発しはじめる。
会議の時に誰かが別の話をし始めると「関係ないことはしゃべんなよ!」と一喝したり、
香港ビザの申請が遅すぎる、と言っては僕に大声で文句を言ってきたり、
会社から前借りした5000ドルを移動中に盗まれ、総経理が始末書を書くよう指示すると、
始末書を書くんなら5000ドルは弁償する必要ないだろう、と食ってかかったりしていた。
かなり粗暴な人で、普通なら即刻クビ、なのだが、社長が連れてきた人、ということで、
誰も何も言わない。というか、言えない。それに、なぜかみんな敬語を使ったりしている。
ビザの申請に必要なため、彼の職務経歴書を取り寄せようと本社に問い合わせると、
なんと、履歴書や職務経歴書なしに入社させた、ということだった。
そんなか、もっともトラブったのは契約に関してだった。
彼は日本で労働契約を結びたい。日本採用だと、当然、日本で税金を支払わねばならない。
しかし、それはイヤだ。給料だけ香港でもらい、退職金などは日本でもらいたい。
社長の鳴り物入り、ということで、日本の人事部長が、ああでもない、こうでもない、
とやっているうちに「この会社は馬鹿の集まりか!」と彼が切れだした。
雑談の際には「俺は右翼だ。韓国人を皆殺しにする。」などという言動も見られた。
こんな人とこれからやっていくのか、と思えば正直、気が重かった。
慶應出の苦労知らずなヨン様似の社長は、
なぜか、たまーに、社長である自分をも馬鹿にするような、粗暴人間を採用するのだが、
結局、我慢できずに最後は切ってしまう、という所業を繰り返していた。
しかし、まあ、こんなに分かりやすいキャラも珍しい。
僕はこの二週間、ずっと彼を対象に赦しを行なった。
この人は存在しない→故に何の罪もない→無意識の罪悪感を解体してください
彼は何もしてない→自分も何もしてない→神との分離は起こってない→神の愛しかない
彼と対座にながら、僕も頑張った。
何もせず、関わらず、これは起こっていない、と無視しながらも対峙し続ける。
その間、みぞおちのハートはびゅんびゅん歪みっぱなし。ツライ!
それでも、避けることなく赦し続けていると、ある時(と言っても昨日の夜なのだが…)、
ものすごいハートの愛がわわわ、と込み上げて来て、泣きそうになった。
僕は今までの人生の中で、何度も同じような人に出会いながら、
その人から逃げ続けてきたことにはたと気づいた。
近頃は滅多にそういう人に遭遇することはなくなっていたのだが、
若い頃は、理不尽で横暴な上司に出会うと、そそくさとその職場を去っていた。
そして、今回で終わらせることを選択した僕に、聖霊がこの彼を差し向けてくれたのだ。
こんなにワザとらしく、僕の前でパフォーマンスをしてくれる彼に感謝の念が湧いてくる。
どう見ても「はやく俺を赦せよ!」と言っているようにしか見えない。
彼もまた、僕をサポートしてくれる大切な僕の兄弟だったのだ。
このことに思いが至った時、限りない愛の波動に全身を凌駕された。
もう、誰がどんな演技をしようとも、僕は父の愛以外、信じることはないだろう。
そんなエクスタシーの中、週末を過ごした。
そして今日。
月曜日の朝になり、会社へ行ってみると、
「彼は先週末に解雇されました。」と総経理から告げられた。
へっ?
聞けば、先週金曜日、工場で彼が男性ワーカーに暴力をふるい、
そのままホテルで謹慎→解雇になった、というのだ。
ええーっ! 赦しが完結したと同時にその彼がいなくなるなんて…。一瞬、体が震えた。
それからというもの(といっても今日だが…)、もう聖霊しか信じない、と心底思った。
訳もなくうれしい。
この赦しが完結したから嬉しいのではなく、
聖霊に導かれていることを本当に確信できたことが嬉しいのだ。
全員が神の子に見え始めたことも嬉しい。
嫌な人、嫌な事、嫌な場所は、本当は神(高嶋忠夫)の親指ぐるぐる〝イェーィ!〟だったのだ。
それに、肉体としての他者は幻想だし、ハートから見れば、他者に差はない。
といことで、今日は早めにオフィスを出て、暴力を受けたワーカーさんを派遣している人材会
社へお詫びに行くために、コーズウェイベイのそごう百貨店まで菓子折りを買いに行った。
本高砂屋、神戸風月堂、吉兆奄、モロゾフ、どれにしよう。結局、吉兆奄のカステラにした。
イェーィ!