会社の昼休み、香港の事務所にいるときはジムに行くのでいいのだが、
工場に出張に来ているときは、ご飯を食べるわけでもなく、ネットをするわけでもなく、
暇を持て余すことになる。
そこで最近は、工業園の中をぶらぶら散歩するようになった。
10社くらいの日系企業しか入っていないこの小さな工業園は、
散歩にはちょうどいいくらいの広さなのだ。
最初にここへ視察に来たとき、花と緑が溢れ、小鳥がさえずり、
夏の暑い時だったが、細やかな光に満ちていて、すごくいい印象を受けた。
どの工場にも、従業員が30人くらいしかいないので、全体的にひっそりしている。
それまで、あっちこっち広東省内を視察して回っていた僕は
(※6〜7月くらいの記事を参照願います。)
一目見て、進出するならここだ、と直感した。
すぐに社長にここを推薦し、実際ここに決まった。
そして、なんでこんなところに、こんな小屋が立っているのかわからないのだが、
いつも、散歩のあとは、この小屋のベンチに座り、クラスの映像をみたり、
本を読んだりしてすごす。気温も18度くらいで、すごく気持ちがいい。
みれば、雑草が茂る空地にも、野生のマーガレットが咲き乱れている。
だが、こんなに美しい花や木があるのに、ここで働いている人たちには全く見えていない。
朝、工場の中に入ったら、みんな夜まで出てこない。そして、車でさっと帰ってしまう。
まあ、花や光を感じて、それがなんぼのもんじゃい。
これで納期が縮まるのか、と言うところなのだろう。
僕も昔はそうだった。1時間先、半日先、明日の事ばかり考え、今を見ていなかった。
だが、全てはもともとここにあり、見ようとしないだけだった、とわかる。
こうして、ハートを感じて智る、ということに重きを置いていると、
周囲にあるさまざまなものに、美しさを感じるようになる。
また、ちょっとしたものに愛を感じるようにもなる。
汚れたくつ、なんかにもひゅんひゅんする。
ちょっと掴んだコツは、ハートの愛を感じるには、静かにしなければならない、ということだ。
静かにすることで、もともとずっとそこに在ったものが見えてくるのだと思う。
仕事でわーわーやっているときでも、このわーわーやっているうそっぱちの自分は
そのまま好きなようにやらせておけばいい。
自分じゃないから、これを止めようとする必要はない。
肉体で何かやっているエゴの自分も含めて関わらない、放っておく。
もうひとりの静かで、愛だけの自分でいる。
そんな感じで静かに佇む昼休み、なのであった。