フェリーに乗り、1時間が過ぎるころ、
LINEの着信音が、ピロリン〜♪、と鳴り、
YOUTUBE と FACEBOOK が回復した。
資本主義国へ帰ってきたんだな、と実感する。
華やかなネオンサインと明るい町並み。
寂寥感満載な昨日までの風景がウソのようだ。
フェリーの中では何もせず、アンフィニでかかっていた
癒し音楽を聞きながら、眠っていた。
ウツボカズラ大放電をやり過ぎたせいか、
なんだか、放心状態でぼうっとしていた。
と、香港の埠頭に近づき、船が速度を落とし始めた頃、
周囲の乗客が席を立ち、出口付近へ移動を始めた。
かれらの後ろ姿を見た瞬間、形容しがたい感慨に襲われ、
うっ、と涙が込み上げてきた。
この時の感じを言葉にするのは難しい。
全ての兄弟たちの奥に、懐かしいような、
切ないような、感謝で打ち震えるような、
なんて言うか〝聖なる気配〟みたいなものを観て、
感動してしまったのだ。
この人はアラブ人じゃない、あの人は中国人じゃない、
とエゴの個人を否定した奥から立ち顕れる、
共通した一つの気配。神の気配と言ってもいい。
それは凛としたもので、優しさに満ちている。
全く同じ聖性を見出すことで、自分たちのソースは
一つだったのだと認識できる。
最近やたら〝うるうる〟が多い。
それも、突然やって来るから難儀だ。
でも、拒否することなく受け入れよう。
父の思いを受け入れる練習をしているのだ、
と思うから。