大阪の実家にいる。
今回はキャセイ航空の早朝便で帰ってきたのだが、
機内は、春節前に日本へ脱出しようとする人達で、
ごった返しており、座席もほぼ満員状態だった。
その上、僕の隣に座った外人さんがかなりデカい。
と、突然、日本人客室乗務員の女性がやってきて、
「実は、このシートに不都合が発生いたしましたので、
あちらにご用意した席に移動願えますか。」と言う。
聞けば、リクライニングが壊れているため、
安全の問題上、この座席は使用できないというのだ。
見れば、移動する座席はかなり後ろの方だ。
それに、今日はフルブッキングらしいので、
きっと、あまり良い席ではないのだろうな、
と思いながらも、ラックから再度荷物を取り出し、
彼女の後を付いて行った。
すると、他の座席はすべて満席なのに、
移動した席だけがなぜか、3席全て空席だったのだ。
おかげで、右の座席に荷物や本を置き、
左の座席に食事やワインのカップを置いて、
自分の席でパソコンを打つ、という、
ビジネスクラス以上の、なんとも優雅な3時間半を
過ごすことができた。
しかし、だからと言って、
わーい、ラッキーッ!ありがとう、兄貴ーっ!
ということが言いたかったわけではない。
今回、
他は満員なのに、自分だけ3席使える状況の中で、
「うわあ、兄貴に委ねてうまくいったあー!」
という考えが〝微塵も〟起きなかったことに、
奇跡を感じたのであった。
これまでは、起きる夢に差は無い、と言いながらも、
心の隅の隅の方では〝聖霊兄貴からのご褒美〟を
無意識に期待しているところがあった。
しかし、今回は、天国から聞こえてくる
精霊の呼び声の方がリアルになりすぎて、
夢の世界のことにまで気が回らなかった、
というのが正直な実感だ。
あのデカい外人さんの隣で3時間半を過ごしても、
多分、とても幸せで平安だっただろうと確信できる。
なぜなら、平安は外の世界から来るのではない、
ということをわかっているから。
多分、、デイヴィッドのように、聖霊に導かれて、
現実がスムーズに流れていっている人と言うのは、
スムーズに行っていることを何とも思っていない、
スムーズに行っているとさえ感じていないんだろうな、
と思った。
ということで、日本一時帰国一日目は、
朝から病院回りをした。皮膚科と眼科だ。
もう何年も前から目が痒く、香港で病院に行っても
アレルギーの目薬を処方されるだけで、
あまり改善が見られなかったので、
一度、日本でちゃんと診てもらうことにしたのだ。
適当に近所の眼科に行った。
普通は目が痒いというと、はいアレルギーですね、
と言われて目薬を出されるだけなのに、この先生は、
眼圧、涙の量、眩しさの反応、目の血管の検査、等、
綿密に検査し、結果、パソコンの見すぎによる
ドライアイだ、ということが判明した。
眼球上のネバネバ粘膜に穴が開いてしまい、
それで炎症が起きて痒くなっている状態らしい。
先生は80歳くらいのおじいさんなのだが、
「この目薬の成分、木曜日のためしてガッテンで
紹介されてたんやけど、ドライアイを治療できる、
すごい目薬なんや。一回、試してみ。」だって。
実は香港に住んでるんです、と告げると、
帰国前に再度診察を受け、そこで長期の治療方針を
立てることになった。
何か、この先生に出会っただけで半分治った気分だ。
妹に訊けば、その先生、近所でも有名な名医らしく、
眼科医院の中にいる幾人もの先生の中で、
紹介もなしにこのおじいさん先生に当たるのは、
至難の業だということだった。
皮膚科の先生も面白くて、どうしましたか、と言われ、
脇の下に謎のできものが…、と言って見せると、
「ほんま、謎やなあ。」と言いながらも、
これをつけてみ、と、黄色い軟膏を直接渡された。
実はデリケートゾーン(ぶっちゃけ金玉の裏)
も痒いんですけど…、ともじもじしながら言うと、
「あっ、金玉にもこれ塗っといたら治るわ。」
と、でかい声で言われ、看護婦さんの手前、
赤面しながら帰ってきた。
結局、謎のできものは、その日のうちに治った。
で、風呂に入りながら、もう本当に、
時空のことは聖霊兄貴に完全に任せる、
と決めて湯沸しパネルの時間表示を見れば、
22:22 だった。