香港も、労働節と、お釈迦様の誕生日の祝日があり、
飛び飛びのプチゴールデンウィークとなっている。
それで、うだうだと休日を過ごしていると、
今年2月に兄弟てっちゃんちで観た韓国映画、
『ビューティー・インサイド』が、
WOWOWプライムで放送されていたので観た。
これは、主人公の男性が、18歳の誕生日を境に、
毎朝目覚めたと同時に、違う姿の人間になっている、
という奇想天外な物語で、
そんな主人公が、ある女性を好きになり、
超イケメンになった日を狙ってその女性とデートし、
恋を成就させたはいいが、数日後、
不覚にも眠ってしまったため、容姿が変わってしまい、
その女性とは会っても本人とは分からなくなる。
しかし、紆余曲折の末に事の真相を知った女性は、
苦悩しながらも、その主人公を受け入れてゆく。
ここには、
二つの大きな赦しのテーマが差し出されている。
ひとつは、肉体がどのような変貌を遂げても、
奥に在る、変わらぬ一人を愛することができるか、
もうひとつは、他者からの承認を得られなくても、
その人を真に愛せるか、ということである。
例えば、
自分が男で、ある女性を好きになり、結婚したとする。
しかし、突然その女性の外見だけが男に変わったら、
又は醜い老人に変わってしまったら、
それでも、以前と同じように、その人をその人として、
一生の伴侶として愛し続けることができるのか、
また、友人や身内の前で堂々としてられるのか…?
精神的にはできると答える人はいるかも知れないが、
その姿と一生を共にし、普通の夫婦と同じように、
セックスもするとなれば、話は別だろう。
まあ、実際にセックスをする、しないは別にして、
僕達はやはり、外見も含めてのその人を愛している、
と認めざるを得ない。
愛はどこから生まれてくるのか、と訊かれても、
この映画を見てしまうと、安易に〝内面からだ〟
とは言えなくなってしまうのだ。
↑ 上野樹里出てるよ!
映画の中で、全てを赦し、受け入れた彼女が最後、
男、女、老婆、死斑の出た老人、禿げたおっさん、
ケンの立ったおばあさん、5歳の子供、黒人、など、
あらゆる人物とキスをするシーンが出てくるのだが、
それは、
表面に顕われているものに惑わされることなく、
あなたは、
奥に在る一つのものだけを愛することができますか、
という、究極の愛を象徴して見せている。
そういう意味で、この映画は、
毎日輪廻転生し続ける人の物語でもある。
実際、僕たちも、前世で愛し合った人たちを、
今世では見分けられずにいる。
また、それでいいのだと思う。
結局は、
全てを同じものと観る眼差しを獲得することで、
僕たちは一つであったことを知るのだ。
それにしてもこの映画、韓国映画には珍しく、
女が泣きわめいたり、お金持ちが威張ってたり、
男同士が殴り合ったりするシーンがひとつもなく、
静かに、気持ちよく、最後まで鑑賞できる映画だった。