霧雨が降り、日中でも9度までしか気温が上がらず、
夜は5度近くまで冷えこんた。
しかし、御存知のように、香港には暖房がない。
なので、
せめて自分のスペースだけでも暖かくしたいと、
事務所では足元に温風器を置いて仕事をしている。
それで、今日、会社の経費をチェックしていて、
なんで水道光熱費がこんなに増えているのかと
ケリーに訊いたら、僕の温風器が原因だと言われた。
げっ!
しかし、本当の原因は温風器にあるのではなく、
隠された心の中にあるのだ。
だから、癒すのは、自分の心の中のほうなのだ。
(でたあーっ!ご都合スピリチュアル…。)
やっとトレーナーが日本から戻ってきたので、
今日からまたトレーニング開始である。
今日は午後から外出し、
午後5時半ごろに打合せを終えたため、
そのまま直帰することにした。
予約したトレの時間までまだ間があったので、
近くのカフェに立ち寄り、奇跡講座を読んだり、
ノートPCに小説のプロットを打ちこんだりしながら、
時間をつぶしていた。
そのとき、
カウンターで飲物を受け取った女性が振り向きざま、
歩きスマホをしながら店に入ってきた女性と、
思い切りガチンコしてしまうのを目撃した。
床にコーヒーがこぼれ、店員が拭いている。
この光景を見て、第五分裂だ、と思った。
神から離れ、神の子が決断の主体となった第一分裂
エゴと聖霊の間で、エゴを選択した第二分裂、
心を自己と他者に分裂させた第三分裂、
ビッグバンによって心の中から飛び出した第四分裂、
と、四つの分裂を経て、僕たちはいま、
この幻想世界を体験しているわけだが、
最近、座っている時も、歩いている時も、
スマホを覗き込んでいる兄弟たちを見るにつけ、
このまま行けば、僕たちは新たに第五分裂を起こし、
もう一つの幻想世界へと没入していくのではないか、
と感じてしまうときがある。
まあ、今の段階では、まだ技術がショボいため、
現実のリアル感の方が、スマホより勝っているが、
今後、テクノロジーがもっともっと発達し、
〝リアル体感VRスマホ〟なんかができたりすると、
よい子の僕たちはもう瞬殺で没入してゆき、
そのまま戻って来られなくなるのは目に見えている。
言わば、バーチャルの中のバーチャルへと、
意識を分裂させてゆくのだ。
そうなると、乖離の法則によって、
今体験している全ての記憶は失われ、
ここがスマホの中だということすら忘れてしまう。
やがて、意識はVRスマホの中で輪廻をはじめる。
「もうちょっとで父が待つ故郷へ帰還できる、
というところまで来てたのに、
エゴが差し出したスマホのアプリを、ひょっ、と
何のためらいもなく押しちゃうもんだから、
さすがの J も〝はあ?ふざけんな!〟
って感じだったわよ。」
と、VRスマホの世界の中に顕れたパーサが、
VRスマホの中にハマりこんでいるゲイリーに、
語りかけていたりするのかもしれない。
まあ、理論的に証明することはできないが、
今後、コンピューターの生み出す虚像の世界が、
新たなエゴの逃避先になるだろうことは確かだ。
要するに、従来の故郷へと戻ってゆく方向と、
スマホ(テクノロジー)の中へと向かう方向は、
ベクトルが真逆なのだ。
コンピューターテクノロジーの世界はいわば、
この僕たちが住んでいる幻想世界の模造である。
だから今後僕たちは、テクノロジーを、
没入するためではなく、戻ってゆくために使うべきだ。
まず、没入していることに〝はっ〟と気づき、
次に、自分は今、心の中の〝投影の中の投影〟を
見ていることを認識し、最後に、
神の子の自分に〝幻想の中の幻想〟など必要ない
(なんだかややこしいな…。)
と、聖霊兄貴へ明け渡してゆく。
いずれにせよ、
僕たちは、再度、欺かれようとしている。