↑ 旧ウェスティン・マカオでお籠もり執筆。
マカオの島側はカジノもなく、とっても静か。
アパートの裏の森でセミが鳴き始め、
今年もまた香港の夏が始まった。
日本は今週から花のゴールデンウィークらしく、
東京本社の人も、今年は有休を使い、
9連休にしている人が多い。
香港はメーデーの5月1日(火)だけが祝日で、
なんだかつまらないため、
僕も前日の月曜に有給休暇を取り、
勝手に4連休にしてしまった。
とはいっても、
『ジンジャー・タウン』も完成してしまったいま、
これといってやることもなく、
網戸越しにセミの鳴き声を聞きながら、
ソファの上でアンニュイにカルピスを飲んでいると、
ふと、
今の自分には、どうしても叶えたい望み、
みたいなのがないなあ、と思った。
まあ『ジンジャー・タウン』が本になればいいな、とか、
働かなくても生きてゆけたらいいな、とは思うが、
どうしても、というわけではない。
ひょっとして、
本当の幸福とは、望みが叶うことではなく、
叶えたい望み自体が無くなることなのではいか、
それこそが、夢の世界からの解放を意味するのだ、と、
ソファに寝そべり、勝手な持論を展開していた。
話は変わり、最近、物がよく失くなる。
しかも、絶対に失くなるはずのない状況で失くなる。
それでいて、しばらくすると、全く見当違いな場所で、
ひょこっと見つかったりするのだ。
先週も、大陸専用のスマホが見当たらないので、
会社に忘れたのだろうと思っていると、会社にもない。
スマホに直接電話を掛けて着信音を鳴らそうにも、
大陸専用なので、香港では応答しない。
鞄の中、引き出し、スーツのポケット、ソファの下、
あらゆる場所を探すが見当たらない。
まあいっか、と赦しの態勢で数日が経った頃、
幅五センチほどのパーテーションのボードの上に、
チョン、と置かれてあるスマホを見つけた。
いつもその前を行き来しており、
何日もそこに在れば、会社の人も気づくはずである。
また、スマホの充電ケーブルが無いと思っていると、
リビングの屏風の隙間に引っかかっていたり、
以前ブログで紹介した『幻想からの解放』という本が、
どこを探しても見当たらず、探しに探していると、
なぜかエドワードの席で見つかったりする。
その他にも、そこにあるはずの衣服や食器、
使ってないネクタイピンなど、ちょっとした物が紛失し、
それが、全く予想外の場所で発見されるのだ。
昔から、僕自身がそそっかしい性格で、
よく物を失くしたり忘れたりしていたのならともかく、
こんな経験は初めてである。
真相は不明だが、まるで、小人の精霊か何かがいて、
いたずらでもされているような気分だ。
ああ、兄貴…!
人だけではなく、物まで消すつもりかっ!