👆 『平安経』著者の架電氏(検閲回避のため仮名)
この手があったか、と物書きとしては感服!
いま、中国吉林省の高官が出版した
『平安経』という奇書が、中国で物議を醸している。
あらゆる単語の語尾に〝平安〟という文字を加え、
ただ延々と羅列しただけの本で、最初は当局から
絶賛されていたが、国内のSNSで、
「稚拙すぎる」「意味不明」「あまりに安易」
と批判が殺到するや否や、出版社は、
「そんな書籍を出版したことは一度もない」
と言い出す始末。
それで、当初、
「前例のない平安をテーマにした傑作」と、
称賛されていた本書は一転、発禁となり、
著者の架電氏も定年間近の57歳にして、
副党書記と副庁長の職を解任されてしまった。
👆 鼻平安、耳平安、平衡感覚平安、聴覚平安、って
マジウケる!
本書はまず 「宇宙時空平安」「世界各界平安」
といった10章に別れ、その中で、さらに細かく、
中国平安、男性平安、女性平安、幼稚園平安、
北京首都空港平安、上海浦東空港平安、
1歳平安、2歳平安…99歳平安、大動脈平安、
と、末尾に平安をくっつけただけの単語を、
ひたすら並べてゆくだけの一冊となっている。
これをお経のように読むことで、
人民は平和な雰囲気を醸成し、
平安なエネルギーを集めることができるらしい。
この本の著者の架電氏は、筋金入りの幹部で、
公安職員を育成する著書なども30冊に上り、
本書も政府機関出版社から出版されている。
こういった出版物は、党員は必ず購入するので
金儲けのために、安易な内容の本を出した、と、
吉林省の風紀委員会が問題視したのだという。
👆 解任が決まり涙する本人
僕がこの本の存在を知った時、すぐにでも、
この『平安経』が欲しい、と思った。
持っているだけで心が平安になるような、
ご利益が詰まった般若心経のような本に思える。
これは僕の推測だが、著者は本当に心から、
世界の平安を祈ってこの本を書いたように思う。
なぜなら、
党の裏の裏まで知り抜いている幹部なら
こんな本を出したらどうなるか、
結果は自分自身が一番わかっている筈だからだ。
それに、二十歳そこそこの文学青年ではなく、
ガチガチ体制側の公安の偉いさんが書いた、
という点が、ボクを嬉しくさせる。
積み上げてきた全てのキャリアを失った著者。
彼の本当の平安は、この瞬間から始まった。