東京に着いて、すぐに眼科に駆け込んだ。
目が死ぬほど痒く、冷たい空気に触れると、涙が止まらなくなるのだ。
もう、道を歩いているだけで涙がぽろぽろ。
そこで日曜日でもやっている眼医者さんを探して、診てもらうことにした。
新宿の眼医者さんなのだが、かなり混んでいて、
一時間くらい待って、やっと診てもらえた。
結果、アレルギーだった。
涙をずっと拭き続けるので、目の周りの皮膚もただれ始めている。
フルメトロンという副腎皮質の点眼薬と、かゆみを抑える点眼薬、
そして、皮膚を保護する塗薬をもらって帰った。
しかし、この眼医者の看護婦さんが全員カワイイ。
患者さんもなんか、オタクっぽい人が多いような…。
えっ? オレもその一人だって? うん、納得。
その目薬を差して、ずっとホテルの部屋で休んだ。
幸い、夕方には収まり、目の痒みも退いた。
ああ、よかった。
夕方、新宿にあるいつものイタメシ屋で、兄弟てっちゃん夫妻と合流する。
予約をしていなかったが、最後に1席だけ空いていて、ひゃっほーい、だった。
フルボディーのワインで乾杯し、おいしい料理に舌鼓をうつ。
それから、まるで午後三時のタリーズに集結したおばちゃんたちのように、
何をそんなにしゃべることがあるのか、ぺちゃくちゃと話し続ける。
食事を終え、ホテルのスカイラウンジへ席を移してからも、
いろんなことを話したのだが、
内容はおもに職場での赦し、がメインだった。
職場には本当にいろんな人がいる。
職場の赦しの最もツラいところは、
自分で一緒に仕事をする人たちを選ぶことができない、という点だろう。
学校の友人や、個人的な付き合いのように、
「あの人とはちょっと合わないから、付き合わないようにしましょう。」
というわけにはいかないのだ。
昨日まで普通だったのに、今日から突然口をきいてくれなくなった同僚。
どうしても我慢のならないお客。
ころころと言うことが変わる上司。
これは自分の仕事ではありません、
と、やたら仕事を他人に押し付けるお局様、などなど…。
毎日目の前にいて、否が応でも一緒に仕事をしなければならない。
肉体としての相手は嘘だ、と宣言し、
神の子としてしか見たくありません、と兄貴にゆだねた先から、
もっと強烈なパフォーマンスを仕掛けてくる。
僕の場合、エゴの相手をぜぇーったいに信じない、
断固拒否する、これは嘘っぱちだ、とガンガン否定しまくって、
兄貴を選びまくった結果、
肉体の相手の背後で、聖性の相手が、
「こんなにわかりやすく見せてやってんだよ。早く赦して終わらせろよ。」
と言っているようにしか見えなくなってから、相手が変わり始めた。
そういう意味で、逃げることができないからこそ、
無意識の罪悪感が投影された相手を赦せたときは、
変わるのも早いのだと思う。
仕事中のほぼすべての時間が赦しの連続なので、
結果、ずっと兄貴を意識している、ということにもなる。
そのため、兄貴と過ごすのが習慣になり、ブレるということがなくなる。
最近はなんかあるたびに、
「自分は父に完全に護られている神の子だ。」
と思い出すことにしている。
そうすると、肉体としての他者がウソだと見えてくるのだ。
でも、こうやって〝父が待つ我が家〟
へ帰還することを決めている同士の語らいは本当に楽しい。
良い時間をありがとう。