クリスマス&正月休暇真っ最中である。
日本は帰省ラッシュが始まったようだが、僕のほうは、
もう、一日中、家でうだうだゴロゴロ、お籠り三昧なのだ。
昼間から、チーズをかじりながらワインを飲み、
ネットサーフィンをしたり、映画を観たり、
小説のプロットをまとめたりして過ごしている。
やっぱり家がイチバン!ひとりがサイコー!
とにかく、どこへも行きたくないし、誰にも会いたくない。
そういう点では、コーズウェイベイに越してきて正解だ。
食べ物屋も、スーパーも、そごうも、徒歩一分で行ける。
ただ、気を付けなければならないのは、年末なのと、
ボーナスが出て気が大きくなっているせいか
これまで買い物はfusion(香港版AEON)でしてたのに、
CITY SUPER(香港版 成城石井)へ出入りするようになり
そこで、イベリコ豚とか、高級食材を買ってしまうこと。
今日も一切れ82ドル(1200円)もするチーズケーキを、
二切れも買ってしまい、食べた後で赦すハメに…。(泣)
これから大みそかにかけて、日本のおせちや大吟醸酒
名店の和菓子などが次々と店頭に並ぶと思われ、
理性を保ち、しっかり財布のひもを引き締めるのだ!
よしっ!
というわけで昨夜、日本映画専門チャンネルで、
『徘徊 ママリン87歳の夏』というドキュメンタリーを観た。
昼夜の区別なく徘徊する母とそれを見つめる娘の物語で
娘は徘徊する母に、付かず離れず寄り添いながら、
道に迷った母に、タイミングを見計らいつつ、はよ帰ろ、
と話しかけ、うまく誘導しながら、家路を誘う。
また、二人のトンチンカンな会話も面白い。
真剣に奇妙なことを話す母に、娘は無視することなく、
真実をただ淡々と語って聞かせる。
聖霊から見れば、
きっと僕達もこんな感じなんだろうなあ、と思う。
真剣に怯え、恐怖し、外へ逃げ出そうとする僕たちを、
聖霊は、考えるのをやめなさい、こっちが近道だよ、
いいから全て任せなさい、と強く語りかける。
で、思った。
僕達はある意味、重度の認知症患者なのだ。
故郷へ帰りたいのに、どうやって帰ればよいか分らず、
自分が何者で、どこからきて、どこへ行くのかも知らず、
ただ眼前に展開する出来事に必死で対処している。
自分が〝くるくるパー〟(死語?)であることにも、
まったく気づいていない。
死んだほうがいいから死にますわ、を繰り返す母に、
「考えんでええ。ママの考えはボケてんねんから。
全然ズレてんねんから、考えんの止めなちゃい。」
「任せなさい。神様に任せなさい。」
「大丈夫、神様が全部決めてくれる。」
「それはママが決めることとちゃうねん。
神様が決めることやから。もう、寝なさい!」
と、答え続ける娘。
このドキュメンタリー、丸ごと僕たちの物語だ、と思った。
すでに家で安らいでいるのに、家へ帰る、と言い張り、
あてどもなく徘徊している。鎮まるということがない。
一瞬静まり、正しい声を聴く。
その声に従い、ひたすら〝意志〟を外側ではなく、
帰るべき故郷へ向ける。
とまあ、そんな感じで、
ひとり静かに過ごす年末である。