あっという間に春が過ぎ、夏が近づいてきた。
夏と言えば、海水浴、旅行、花火、お盆、ひと夏の恋、
と、開放的で活動的なイメージがあるが、
僕の今年の夏のテーマは〝なにもしない〟である。
これは文字通り、行動的に何もしない、という意味で、
幸い、すったもんだの学校は5月一杯で終わりだし、
専門学校の授業も6月下旬から夏休みに入るので、
仕事もせず、旅行へも行かず、飲みにも出ず、
7月と8月はもう、まったり、ゆったり、のんびり、
おうちで、ごくごくフツーの日常を送るつもりである。
なぜ、こんな心境に至ったのかと言うと、
これまでの人生の中で、真に心穏やかだった時など、
ほとんどなかったことに気づいてハッとなったからだ。
思い返せば我が人生、常にちょこまか動き回っていて
じっとしている、ということがなかった。
物理的に何もしていないような時でも、心の中は常に
不安を感じていたり、次の計画を立てていたり、
または、スピ的なことで言えば、休日に家にいても、
瞑想したり、スピ本を読んだり、スピ動画をみたり、と、
いつも、何かを探求し続けていた。
そこで、還暦間近なこともあり(キャーッ!歳バレ!)、
ここはもう、完全に立ち止まり、全てをリセットして、
どこへも行かず、心の中を探ることもせず、
今この瞬間瞬間の日常の中で、
ただただ、開き、委ね、見送って過ごすことにした。
そう言えば、香港で占い師さんに占ってもらった時、
今年は絶対に新しいことをせず、じっとしていろ、
と念を押されたことを思い出した。
そうすることで、
来年どう動くべきかがが見えてくるのだ、と…。
しかし今は、
そういうことすらどうでもよくなっている。
何もない夏、誰もいない夏、自分すらいない夏。
何かを期待したり、何かをつかもうともしない夏。
蝉の鳴き声と、お昼寝と、冷やし中華の夏。
そして、過去も未来も、見ない夏…。
毎日が夏休み…。