長期休暇が明け、今日からお仕事、のはずだったが、
出社してみると、社長からの通達で、
今週一杯、香港支社のスタッフは自宅待機となった。
新型ウィルスの感染が収まるまでは、
ヒトとの接触をなるべく避けるように、とのことらしい。
見れば、周囲の会社もほとんどクローズしている。
そうは言っても、月初で、長期休暇明けのボク、
とても、自宅待機などしていられない。
財務は帳票類や印鑑類がなければ仕事にならないし、
パソコンも小さなノーパソコンでは作業ができない。
で、そのまま事務所で業務をしていると、
今日から当分、香港の主要銀行が営業を停止する、
というニュースが飛び込んできた。
ネットで検索すれば、香港上海銀行も全て閉店している。
これでは日本から持ってきた日本円を入金できず、
10日のカードの引き落としが危うくなる。
業務はやらんくせに、引き落としはするんかいっ!
そうこうしているうちに、本社から荷物が届いた。
開けてみるとマスクだった。1300枚あった。
数日前、父のマスクを奪うように持ってきたのに…、
お父ちゃん、ごめん!
気を取り直し、仕事を続ける。
今度はセブパシフィック航空からメールが届いた。
あなたが来週利用する予定のクラーク行きの便は、
フィリピン政府の通告により取り消されましたとある。
下に、ストロングアテンションとして、
あなたはすでに香港居民として登録されているため、
別の国を経由しての入国も拒否される恐れがあります、
と、乗客の行動を読んだ鋭い一文があった。
このエアチケットは、来週のフィリピン出張のために、
先月予約していたもので、結局出張も無くなった。
そんなこんなで、何だか脱力してしまい、
もうそろそろ帰ろうか、と思っていたら、
今夜、中国に通ずる4つの国境を全て封鎖する、
とのニュースが入った。
珠海やマカオへ向かうフェリーも運航停止になるらしい。
戻って早々、なんだか色々ある一日だ。
本社からは自宅待機の許可をもらったが、
多分、明日も出社すると思う。
デモの時もそうだったが、非常事態下の自宅待機って、
うつうつと気が滅入ってしまい、精神衛生上よくない。
👆 1月17日に撮影した香港の空港。 👆
まだ多くの人がマスクをしていない
オフィスを閉め、通りでバスを待つ。
いつもは長蛇の列なのに、誰もいない。
ウイルスって、人と人をどこまでも分離させてゆく。
自分という肉体を守るために兄弟を嫌え、とけしかける。
しかし〝いまここにあるもの〟へ意識を向けるてみると、
風が吹き、車が通り、街灯の光が明るく道路を照らし、
と、今この瞬間に流れている神の想念は、変わることなく
平安そのもので、愛と安らぎに満ちている。
はっと我に返ってみると、
いま、バスを待っているこの僕には何の問題もないのだ。
僕はマスクを外し、大きく深呼吸をした。
神を取り込む。
息苦しさから解放され、神が流れ込んできた。
僕たちは、神をウイルスだと思っている。
感染するうーっ、と、
ぎゃあぎゃあ神から逃げ回っている。
実際には、ウイルスから逃げ回っているのではなく、
ウイルスを持っているであろう他者から逃げている。
そして、相手がくしゃみをしただけで眉をひそめる、
その忌み嫌っている他者こそが自分であり、神である。
心地よくないものは神ではなく、そして神だけが実存だ。
僕たちは、ただ、勘違いをしているだけなのだ。