今日も祝日だけど出勤した。
で、ひとりオフィスで仕事をしていたとき、なぜか突然、
めまいがして、しばらくソファに横になっていた。
少し眠り、その間、不思議な夢を見た。
僕はどこかの街にいて、なにか買い物をしている。
お金を払おうとすると、財布がないことに気づいた。
それで慌ててバスに乗り、家路を急ぐのだが、
そのバスの隣を全速力で走る青年がいる。
彼は歯を食いしばり、必死で僕を追いかけるように、
僕が乗るバスと並行して走っている。
そういえば、僕がさっき財布がないと大騒ぎしていた際も
彼が僕の背後で自分の財布を取り出し、
僕の代わりに代金を払おうとしてくれていた。
バスが自宅の前に停まり、僕はバスを降りた。
青年が息を切らせながら僕の背後へ追いついてきた。
家から母と妹が出て来て、どうしたのかと僕に尋ねる。
僕は財布を失くしたのでお金を貸してほしいと言った。
またもや、青年が、僕の背後で心配げに
自分の財布を差し出そうとする。
なのに、僕はなぜか彼の方を見ようとはせず、
母からお金をもらうとまた来た道を戻ろうとした。
青年は差し出した財布をしまうと、
また、僕のそばを突かず離れず歩き出した。
目が覚めた。陽光が差す静かなオフィス。
さっき夢に出てきた男の顔が鮮明に脳裏に浮かんだ。
色白で温厚な面持ちの優しそうな青年だった。
彼はいつも、僕が驚いたり、困ったりすると、
すかさず、駆け寄ってきて何かをしてくれようとする。
しかし、僕はなぜか、彼の方を見ようとしないのだった。
彼のことを考えると、胸が切なくなる。
彼が僕にとってどういう存在なのかはわからないが、
いつも僕を心配げに見守ってくれているのに、
僕は彼の方には目もくれない。
それなのに彼はいつも僕に寄り添い助けようとしている。
聖霊とか、ハイヤーセルフとは違う気がする。
すごく愛おしく、優しい愛の存在である。
と、そのとき気づいた。
これまで僕がピンチの時に助けてくれたあの人、
苦しい時にそばにいて励ましてくれたあの友人、
あれは、本当は彼だったのではないか、と…。
そして、彼が取りだしていたあの黒い財布、
あれは、僕がなくしたと思っていた財布だったのでは?
今後は僕の心の中に常にいる〝その彼〟を、
絶対に大切にしていこうと決めた。
今夜もまた夢で彼に会わせてほしいと、僕は祈った。