そぼ降る雨の土曜日である。
午後から夜中まで、メシも食わず、
ずっと書斎で、小説を書いて過ごしていた。
途中から軽いトランス状態となり、
物語の中に完全没入してしまった。
上司のパワハラに悩む主人公のシーンを
描写していたのだけれど、なんか途中から、
自分が聖霊兄貴になったみたいに、
主人公を導こうとしていた。
この主人公に本来の力を取り戻させ、
ポジティブな内的変化をもたらすには、
どういうきっかけを作ってやればいいか、
それには、こういう人物を登場させ、
こういうことを言わせよう、いや、それより、
ちょっとハードなこういう状況を作って…、と、
様々なことを考えながらコマを進めてゆく。
僕はストーリー先手で登場人物を動かすより、
登場人物自身に動いてもらうタイプなので、
常に登場人物に、どうしたい?どうされたい?
と訊きながら物語を進めてゆく。
せっかく、主人公をこう導こうと思っているのに
本人から拒否られることもしばしば、なので、
今後どのように物語が展開するかが、
作者自身にも全く読めないのだ。
ひょっとして、
聖霊兄貴もこんな感じなのかと思ったりする。
登場人物たちは幻想で、物語も架空だが、
そこには僕の心が反映されており、
ストーリーも僕が決め、僕が作っている。
だからこそ、僕は彼らの夢の物語を使って、
僕自身を救おうとしているのだな、と思うのだ。
深夜、やっとトランス状態から解放された。
それから、卵焼きとサラダチキンの夕食を取り
久々に白ワインを飲みながらこの文章を書く。
しかし、たった一杯で酔いが回り、もう限界!
みなさん、おやすみなさい。