👆桜の季節に奈良ホテル宿泊を計画中!
(奈良ホテルの屏風絵から)
引っ越してきてからずっと、
近所によいマッサージ屋さんがないか探していたのだ。
ネットを見たり、通りかかりに見つけた店などで、
何度か施術をしてもらったが、どうもしっくりこない。
全然力が足りなかったり、整体っぽいやつだったり、
特に女性のマッサージ師さんはソフトすぎて、
コン親方のような、やってもらった感が感じられない。
そこで妹が、昔、北浜に勤めていた頃に、
よく通っていたマッサージ屋さんの人が、
今は天六の自宅でマッサージをしているというので、
予約をして行ってみたら、ビ、ビ、ビンゴーッ、だった。
エレベーターのない古いビルの4階にあり、
外付けの螺旋階段を上って呼び鈴を押すと、
メガネをかけた小太りの男性が出てきた。
長ぼそいリビングにマッサージ台が置かれ、
清潔ではあるが、ちょっと雑然とした感じがする。
マッサージ師も、むすっとした感じで、大丈夫かな、
と一瞬思ったが、ウェアに着替えさせられ、
施術が始まった途端 「ヤバい、この人、プロや!」
と、すぐに不安は払しょくされた。
指圧の強さもいいし、ツボもちゃんと心得ている。
余計なおしゃべりをしてこないところもいい。
それで久々に、
〝オートヴィパッサナー〟をすることにした。
マッサージ師に指圧された部位をスキャンしてゆき、
細胞の隙間に溜まった〝思考のカス〟を、
自動的にダンマ(兄貴)へと明け渡してゆくのだ。
普段僕たちは特別な刺激を与えられない限り、
肉体のあらゆる部位を意識することなどないのだが、
刺激された部位や肉体の内部を〝感じてやる〟ことで、
ひとつひとつの細胞にしまい込まれた思いのフォトンを、
光に晒し、昇華させてゆくのである。
他人の指圧で自動的にヴィパッサナーをするので、
僕はこれを〝オートヴィパッサナー〟と呼んでいる。
これをすると、余計な思考に溺れることもなく、
しっかり、今この瞬間の気持ちよさ、に在れるので、
心身ともにリフレッシュできるのだ。
身体を横にして、脇腹や腰骨の辺りまで揉まれるので、
一度も意識したことのない部位を感じることができた。
そして、肉体って宇宙そのものなんだ、と思った。
なので、宇宙の消滅とは肉体の消滅のことなんだ。
細胞の隙間に埋もれた想いを取り出して見つめ、
愛として開放する時、宇宙は消滅するのだなと思った。
2時間の予定だったが、時間をオーバーしていた。
それでも「初めての方なのでサービスです」と、
2時間半たっぷりマッサージをしてもらった。
8000円だった。
施術が終わったあと、熱いほうじ茶を飲みながら、
マッサージ師さんと少し話した。
2年前までは、
大手のマッサージ屋さんで働いていたらしいのだが、
コロナで、客が全く来なくなって食べてゆけなくなり、
仕方なく家のリビングを改造し、HPを作って、
1年前から個人でマッサージを始めたのだという。
自分の腕一本でお客を満足させてメシを食うって、
すごいことだと思うし、かっこいいな、とも思った。
明日は僕の模擬授業の日、兄貴なんか無視して、
僕も立派な先生になるべく頑張るぞ、と、
思いを新たにした冬の夕暮れであった。