ようやく、すったもんだしていた学校の授業が終了し、
今は水曜午後の2時間だけ、経理の専門学校で、
留学生たちに、日本語文法を教えている。
例えば 「~について」と「~に関して」の違いを、
生徒に説明して、練習させ、使い方を定着させる。
僕達日本人が普段何気なく使っている日本語にも、
こんなに微妙な違いがあったことを、
日本語教師になって初めて知った。
そういう意味で、日本語を教えることは、僕にとって、
小説を書く上での、よい学びの場になっている。
というわけで、家の雑事も5月中に全て終わったし、
僕の中ではもう夏休みが始まっている感じだ。
昨日も書いたが、今年の夏は、どこへも行かず、
のんびり、ゆったり、瞬間瞬間に感謝しながら、
今に委ねきって、フツーに過ごすつもりである。
そんな折、筋トレを終えてジムから外へ出てみると、
茶屋町エリア一帯がキャンドルで覆いつくされていた。
店の看板の明かりも消され、神秘的で、すごくきれい。
これは〝茶屋町スロウデイ・キャンドルナイト〟
というイベントで、キャンドルの灯を眺めながら、
ゆっくりスローな時間を楽しむのがコンセプトだ。
まるで今の僕のために用意された催しではないか、
と思い、じっくり時間をかけて辺りを散策してみた。
各スポットのキャンドルアートが素晴らしかった。
この日は金曜日で、
一週間を戦い抜いて一息ついた会社員の人たちが、
キャンドルの灯に癒されていた。
そんな空間に身を置くうち、僕の中で、
あらゆるものに対する深い感謝の念が湧いてきた。
このイベントを企画した人達、キャンドルを作った人達
キャンドルの原料を作った人達、デザイナーの人達、
全ての人達に対して、有難いなあ、嬉しいなあ、
大好きっ、という気持ちが波及してゆく。
そして、次の瞬間、そこには、誰もいなかった。
感謝をするべき誰かもなく、
何かを見て、聞いて、感じている個の自分も無い。
有難いなあ、嬉しいなあ、大好きーっ、しかない。
その感覚はほんの少しの間だったけれど、
僕にはとても解放された瞬間だった。
というわけで、僕の夏が始まった。
授業の準備や前期試験の問題作りは今週中に終え、
来週からは、のんびり、ゆったり、まったり、だらーん、
といった、ゆるゆる夏休み生活に入る。
その中で、静かにありがとうを噛みしめながら、
ていねいに暑い暑い夏を過ごしてゆきたいな、
と思っている。