10年ほど前に、うちの会社と台湾のとある会社で、
50%ずつ出資し、天津にインク工場を作ったのだが、
台湾側の社長が、何の断りもなく、
勝手に自分の持ち株を他人に売ってしまった。
で、急きょ、弁護士と台北へ飛ぶこととなった。
結果、もちろん売却は差し止めとなり、
相手側の中国の銀行口座のサイン権も凍結された。
夜、別の用事があるという弁護士さんと別れ、
ひとり、台北の夜の街を散策することにした。
ホテルの近くに〝寧夏夜市〟があったので、
そこで夕食を済ませた。
本当に美味しそうな台湾B級グルメが並ぶ中、
タンパク質しか食べられない僕は、
鶏肉の串焼きとサイコロステーキを食べた。
それでも、鶏肉の串焼きも、サイコロステーキも、
梅味、カレー味、照り焼きソース、アラブ風、と、
いろんな味付けが選べ、100円〜300円くらい。
量もすごくて、ステーキは食べきれなかった。
その後、林森北路にある行きつけの飲み屋
(と言ってもだいぶご無沙汰だが…)へ行った。
カウンターだけのバーで、仕事帰りにふらっと来て、
一杯ひっかけて帰る人が多く、隣り合った客同士で
話をしたりして、なかなか面白い。
普段、大陸の人たちが話す、
少々粗野で攻撃的な中国語を聞き慣れているせいか、
台湾の人の、囁くような、ちょっと甘えるような、
語尾を少し伸ばす甘い話し方は耳にとても心地よく、
まるでテレサ・テンの中国語を聞いているみたいで、
胸にキュンキュン来る。
バイクの群れ、水垢で汚れたビル、旧式の地下鉄、と、
街並みは25年前とほとんど変わらない。
空港もよその都市と比べ、相当老朽化している。
まあ、そういう土臭いところが、
台湾の持つ最大の魅力だともいえるのだが…。
そうやって、台湾の夜を満喫し、ホテルへ戻った。
部屋で天井を見ながらボーっとしていると、
不意に、何の前触れもなく、
〝聖霊だけが自分の上司である〟という、
デイヴィッドの言葉が浮かんできた。
続いて、
〝この世のものはあなたを騙す嘘なのです〟
という言葉も浮かんだ。
ふと、今朝、飛行機に乗って台湾に来て、
仕事をして、夜市に行って、飲み屋に行って、
肉体改造のために食べ物に気を使い、
上がってくるエゴの想いを明け渡している
〝わたしだと思っているこのわたし〟って一体誰?
と思った。
〝この自分〟がエゴに騙されているのではない。
〝この自分〟そのものがエゴであり虚偽なのだ。
故に、今このブログを書いている自分に、
何かを赦す、なんてことはできない。
攻撃しない、なんてこともできない。
ましてや、判断しない、なんていう芸当など、
できるわけがない。
このわたしそのものが虚偽ならば、
男であるあの人も、女であるこの人も、
上司である何々さんも、親友のなんとかちゃんも、
全部虚偽であり、存在していないということになる。
私は、解体される準備ができています。
私は、分解される準備ができています。
私は、存在しないことを恐れてはいません。
もうこの自分丸ごと聖霊に捧げ放しで生きる。
もちろん、これからも、
〝この自分〟がやりたいことや、すべきことを、
この騙された世界で〝ふっ〟とでてきたままに、
やっていくのだろう。
そして、〝この自分〟にできることは、
それらの全ての〝ふっ〟が、
聖霊兄貴からやってきますように、と祈ることだけだ。
とまあ、
そんなこんなしているうちに、眠ってしまった。