エドワードの出社日数も残りわずか9日となり、
今日から香港事務所は備品の整理に入った。
僕はまだ来月一杯ここに残るのだが、
5月10日には電話線も切られてしまうので、
5月後半は家で仕事をすることになる。
それで、まだ彼がいる今月のうちに、
山のようにあるファイルや書類やサンプル類、
冷蔵庫やソファなどの備品を処分しようと、
今日から整理を始めたのだ。
しかし、憂慮には及ばずで、
彼はビルの清掃のおばさんたちと話をつけ、
棚にずらりと並んだ大量のファイル類を、
おばさんたちに片付けさせたのだ。
書類やコピーの紙はよい値で売れるらしく、
おばさんたちはほくほく顔で片付け始め、
あっという間に、棚が全部カラになった。
掃除機や電子レンジなどの電気製品、
ソファやデスクなどの家具もまた、
全て大家さんが処分してくれることになり、
僕は貴重品だけを持ちだすだけでよくなった。
でも、思えば、YUI、ケリー、ふぁちゃん、に続き、
同僚の日本人、エドワード、と、みんな去ってゆき
最後はとうとう、僕一人になっちゃった。
そして僕もまた、もうすぐここを去ることになる。
また、4年間お世話になったトレーナーも、
5月一杯で卒業することになっている。
そういう意味で、僕にとっては、
この5月が非常に重要な分岐点、というか、
節目になっている気がする。
諸行無常の2021年、
ああ、何から何まで、わざとらしいくらいに、
全てが終わってゆく。