昨日、母に一人暮らしをする趣旨を伝えた。
「まあ、一度しかない人生やから好きにしなさい」
と言ってくれたのだが、それでも、
「もう決めたんやろ。何を言ってもアカンねやろなあ」
と呟くように言われた時は、胸が締めつけられた。
「新しい布団とシーツがあるから、それ持っていき」
「食器も好きなやつがあったら持っていってええよ」
と色々算段してくれる母に、ちょっと泣きそうになった。
本当は母も寂しいのだ。
まあ、遠くに行くわけではないので、
引っ越し後も、毎週実家には帰るつもりでいる。
母も同意してくれたので、今日は賃貸契約を結びに、
梅田の茶屋町にある不動産会社まで行ってきた。
今回お世話になったのは〝クラスモ茶屋町店〟である。
ネットで検索して見つけたのだが、すごくよかった。
内見の車中では、担当者が先に自らの経歴を語り、
自分がどんな人間かを曝け出してくれるので、
こちらもプライベートな事情を話しやすかった。
そうやって、こちらの裏事情を踏まえたうえで、
物件をピックアップしてくれるので助かった。
契約の際も、宅建士の人がきちんと説明してくれ、
光熱費の手続きも一括でやってくれた。
他のクラスモがどうかは分からないが、
大阪市内で部屋を探すのなら茶屋町店はおすすめだ。
契約を終え、地下街を兄貴と共に歩いていると、
次第に、兄貴との間に全く距離がなくなり、
そのまま、直で、兄貴(世界)みたいになった。
自分を差し出すと距離ゼロで愛の感覚がぐんぐん来る。
差し出す👉大好き👉差し出す👉愛してる、
というふうに、キュンキュンで対話している感じ。
と、次の瞬間〝自分〟というものが完全に抜け落ち、
見えている世界と自分との間に隔たりができて、
完全に夢の外に出てしまった。
すれ違うサラリーマンや、荷物を運んでいる人や、
道行く人たちが、完全に自分とは関係のない世界の、
仮想空間を行きかう実体のないものとして認識される。
しかし、不思議なことに、夢の中の自分が星谷周作だ、
という認識はあり、これから電車に乗って家に帰って、
という、現実的なことはちゃんと理解できている。
自分はすでに夢の住人ではなくなったのだと自覚した。
今後、夢の住人でなくなった僕が、
夢の登場人物に怯えることなど絶対にない。
そして、この文章を書いている今、
夢の世界を覗き込んでいる自分さえも消えつつある。
それでも、ちゃんとブログとかは書ける。(不思議…)
でも会社の仕事はできない。(これは不思議ではない)
僕に会社を辞めさせ、香港から脱出させ、
夢の中の何にも属さない不安感を捧げさせ、
そういう意味で、兄貴の導きは完璧だった。
夢の住人である証である住民票(会社/家庭/国家)
を抹消するために、何にも属さない状況を作ることが
僕の場合、絶対的に必須だったのだ。