👆今見るとアイドルにしてはメイク濃すぎるが、
当時中学生だった僕にはたまらなかった
皆さんには、自分だけのアイドル、自分だけの曲、
自分だけの本、自分だけの映画、自分だけの作家、
みたいなものはあるだろうか。
その歌手や作家が、
ほんの短期間しか活動していなかったり、
ほとんど売れずに世間的な知名度はゼロだけど、
自分だけは大大大好きで、今でもしょっちゅう、
見たり聞いたりして楽しんでいる、
みたいなアーティストや作品のことである。
僕の場合は、石坂智子というアイドル歌手がいる。
1980年に『ありがとう』という曲でデビューし、
『デジタルナイトララバイ』という曲も歌っていた。
新人賞レースに時々出れるかどうか、
くらいな人気の歌手だったが、
同期の松田聖子や河合奈保子の陰で存在感は薄く、
一年ほどでいつのまにかいなくなってしまった。
アルバムのジャケットが当時の僕には魅力的に見え、
おまけに歌もすごくうまくて、ジャケ買いして以降、
今でも彼女の歌をスマホでしょっちゅう聞いている。
👆小さな手帳くらいのこの本が、当時、
日本のどこの出版社にも相手にされなかった僕に
中国語で小説を書こうという意欲をもたせた
また、書籍で言えば、1996年に香港で出版された、
魏紹恩著:『我愛鳩鳥群』という小説も、
張賢亮の『男の中の半分は女』と同じくらい、
小説家としての僕に大きな衝撃を与えた一冊だった。
中国で出版されれば即発禁というエロ小説なのだが、
新聞スタンドの隅にあったこの本に出会って以来、
中国語で小説を書く際は、必ず10分程この本を読み、
文章のトーンを脳に馴染ませてから書くようになった。
僕も何年も前に、台湾で小説本を出版したことがあり、
最近、その読者の方からファンレターをいただだいた。
あなたの本の愛読者で、何度も読んでいます、と…。
正直、ほんとうにびっくりしてしまった。
そして何かを表現するとはこういう事なんだ、と思った。
小説本を発表したのはもう何年も前のことであり、
その当時はそれなりに売れたが、ベストセラーでもなく、
いまはもう絶版になっているはずである。
なのに、
こうして今でも大切に読んでくださっている人がいる。
多分、石坂智子さんや、魏紹恩氏自身も、
自分の歌や書籍が、今でも一人の日本人の男に
こんなにも愛されているとは夢にも思っていないだろう。
二人の情報はネット検索してもほとんど出てこないし、
こんなにも二人の作品を愛でているのは、
世界中で僕だけだ、という自信すらある。
そして、自分ではどんなにちっぽけだと思えるものでも
世間に対して何かを発表したり、表現した時点で、
誰かに影響を与えている可能性はゼロではない。
だから全ての発表物には価値があるのだ、
と、認識を新たにした一日であった。
というわけで、
今日は自己満足で始まり、終わる内容であった。
スンマセン!